欧州ロボットアーム

欧州ロボットアーム（ERA）とは

欧州ロボットアーム（European Robotic Arm, ERA）は、国際宇宙ステーション（ISS）のロシアセクションに設置される初のロボットアームです。この技術は、欧州の科学者たちによって開発されました。ERAの導入は、宇宙での作業を大幅に効率化することが期待されています。

打ち上げと設置経緯

ERAは、ロシアの多目的実験モジュール（MLM、愛称「ナウカ」）と共に2021年7月21日にカザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられました。元々は、打ち上げ計画が資金不足や機材トラブルにより延び、14年も遅れての運用開始となりましたが、無事に同月29日にISSにドッキングされました。これにより、ERAは宇宙での様々な作業を支援できる体制が整いました。

特徴と用途

ERAは、自ら制御しながらステーションの外壁を「歩く」機能が最大の特徴です。あらかじめ設置された基点を把持しつつ移動するため、多くの作業を自動または半自動で行うことができます。これにより、宇宙飛行士の負担が軽減されるとともに、以下のような多様なタスクが可能となります:

• - 太陽電池パネルの設置および展開
• - 太陽電池パネルの交換
• - ステーションの外観検査
• - （外部）ペイロードの把持や移動
• - 宇宙飛行士の船外活動をサポート

カナダアーム2が既にISSに装備されていますが、ERAはロシア区画専用の設計で、異なる基準が適用されています。ERAはカナダアーム2よりも小型で、力は小さいものの、細かな作業に特化した設計がされています。

開発と構成

ERAは、ダッチ・スペース社を主契約者とし、8カ国の宇宙関連企業が協力して開発しました。構成部品には、カーボンファイバー製の腕や関節、先端の把持機構などが含まれます。全長は約11.3m、重量は630kgであり、最大搭載重量は8,000kgに達します。先端の移動速度は0.1m/sで、移動誤差はわずか5mmと非常に精密です。

制御方法

宇宙飛行士は、ISS内部または外部でERAを操作できます。船内からの操作は、特別に設計されたラップトップ型のコンピューターを使用し、船外からは宇宙服を着用したままでの操作が可能です。この2通りの操作方法により、柔軟な対応が可能となります。

現在の状況

ERAの開発は2005年に始まり、2010年には肘関節の予備品が無事にISSに輸送されました。最終的な品質検査が完了し、2021年に正式に打ち上げられる運びとなりました。今後、ERAによって宇宙での作業効率が高まり、より多くの科学的探求が促進されることが期待されています。

まとめ

欧州ロボットアーム（ERA）は、国際宇宙ステーションの中でも特に重要な役割を果たすことが期待される最新技術です。その導入によって、宇宙飛行士の負担が軽減され、宇宙における作業の効率が向上することは、多くの人々にとって希望の象徴となります。さらなる宇宙開発の未来を担う存在として、ERAの活動に注目が集まっています。

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