ソユーズMS-20

ソユーズMS-20：宇宙旅行の新時代

ソユーズMS-20は、2021年12月8日に打ち上げられたロシアのソユーズ宇宙船です。このミッションは、国際宇宙ステーション（ISS）への宇宙旅行という、新たな可能性を切り開きました。従来のソユーズの飛行とは異なり、MS-20はISS長期滞在クルーの輸送や、緊急時の救命船としての役割を担うものではありませんでした。その代わりに、宇宙旅行を提供するスペース・アドベンチャーズ社によって選ばれた2名の宇宙旅行客と、1名の職業宇宙飛行士が搭乗しました。

搭乗者

MS-20には、以下のクルーが搭乗しました。

コマンダー: アレクサンドル・ミスルキン (ロシア人宇宙飛行士)
宇宙旅行客: 前澤友作 (日本の実業家)
* 宇宙旅行客: 平野陽三 (前澤友作のマネージャー兼プロデューサー)

日本人2名が同時にISSへ打ち上げられたのは、史上初の出来事でした。

選定の裏側

2021年5月13日、スペース・アドベンチャーズ社は、ソユーズの2つの席を前澤友作氏が取得したことを発表しました。当初、オーストリアのパイロットであるヨハンナ・メイスリンガー氏が搭乗者の一人として有力視されていましたが、最終的には前澤氏と平野氏が選ばれました。また、一部報道では歌手の松任谷由実氏が候補に挙がっていたとも報じられました。

過去のフライトとの違い

MS-20は、ソユーズ初の完全商業目的のフライトとして、その意義は大きいと言えます。2009年にギー・ラリベルテ氏が搭乗して以来、12年ぶりの宇宙旅行者の搭乗となりました。スペース・アドベンチャーズ社は、今後もソユーズMSによる民間人の宇宙旅行を計画しており、2022年10月にはMS-23で2名の宇宙旅行客がISSへ向かう予定です。

これまでのISSへの宇宙旅行は、長期滞在中の宇宙飛行士の交代や、ソユーズの交換に便乗する形で行われていました。しかし、MS-20は往復ともに宇宙旅行者が搭乗し、宇宙への移動手段として用いられる純粋な宇宙旅行を目的とした専用フライトです。この点が、過去のソユーズによる民間人の宇宙旅行とは大きく異なります。

宇宙旅行の意義

ソユーズMS-20の成功は、宇宙旅行の可能性を大きく広げました。これまで限られた人しか体験できなかった宇宙旅行が、より身近なものになるかもしれません。前澤友作氏の宇宙旅行は、多くの人々に夢と希望を与え、宇宙開発への関心を高めるきっかけとなりました。

展示

2023年11月から12月に開催された「NIHONBASHI SPACE WEEK 2023」では、ソユーズ帰還モジュールの実物と、前澤氏が着用したソコル宇宙服が展示されました。帰還モジュールは、前澤氏が帰還後に購入したものです。

ソユーズMS-20は、宇宙旅行の新たな時代を象徴するミッションとして、その名を歴史に刻むことでしょう。

もう一度検索