ソユーズT-13
ソユーズT-13は、1985年6月6日にバイコヌール宇宙基地から打ち上げられた、ソビエト連邦による有人宇宙飛行ミッションです。このミッションは、地球周回軌道上で完全に機能を停止し、制御不能な状態に陥っていた宇宙ステーション「サリュート7号」を復旧させるという、極めて困難な目的を帯びていました。その劇的な内容は、後に映画「サリュート7」として描かれることになります。
ソユーズT-13の打ち上げ時の乗組員は、経験豊富な司令官ウラディミール・ジャニベコフ宇宙飛行士と、フライトエンジニアのヴィクトル・サヴィヌイフ宇宙飛行士の二人でした。ジャニベコフ宇宙飛行士にとっては、これが5度目の宇宙飛行であり、直前のソユーズT-12ミッションからの短いインターバルでの搭乗となりました。
サリュート7号へ接近したソユーズT-13の乗組員が目にしたのは、太陽電池パネルが不規則な方向を向き、本体がゆっくりと回転している死んだステーションの姿でした。手持ちの光波測距儀を使用し、慎重に距離を測りながら接近した彼らは、ステーションの外壁には明らかな損傷がないことを確認しましたが、移動コンパートメントの耐熱ブランケットは太陽光にさらされ続けたために鈍い灰色に変色していました。
凍結し、自動システムが機能しないステーションへのドッキングは、前例のない挑戦でした。ソユーズT-13は、宇宙ステーションへの手動ドッキングとしては史上初の事例となり、この困難な操縦のために宇宙船のコントロール系には若干の改良が施されていました。ジャニベコフ宇宙飛行士の卓越した手動操縦により、ソユーズT-13は無事サリュート7号へのドッキングに成功しました。
ドッキング後、乗組員はドッキングポートの電子コネクタを通じて、サリュート7号の全ての電子システムがダウンしていることを確認しました。ステーション内部へ入る前には、ハッチを開けることなく内部の空気を採取し、その組成を分析しました。空気は極めて冷たいものの、呼吸に問題がないことが確認されたため、二人は厳重な防寒対策として冬季用の手袋や帽子を着用してステーション内へ進入しました。内部は冷凍庫のように冷たく、壁や装置の表面は厚い霜に覆われていました。
凍てついたステーション内で彼らが最初に取り組んだのは、生命線である電源の復旧でした。サリュート7号に搭載されていた8基のバッテリーは全てが完全に放電しており、そのうち2基は損傷で使用不能になっていました。乗組員は、おそらくセンサーの故障が原因で太陽電池パネルが太陽を追尾できなくなり、その結果バッテリーが充電されず、最終的に全てのシステムが停止して通信が途絶えたのだと推測しました。
電源を復活させるため、彼らはソユーズT-13の推進システムを利用して、サリュート7号全体をゆっくりと回転させ、太陽電池パネルが再び太陽の方向を向くように操作しました。これにより、パネルからの電力供給が再開され、バッテリーの充電が始まりました。
乗組員の献身的な復旧作業により、ステーションの機能は段階的に回復していきました。6月10日には内部の暖房システムが再び稼働し（それまではソユーズT-13の空調システムで最低限の環境を維持していました）、6月13日には高度制御システムの正常な再動作に成功しました。これは、地球からの物資を積んだプログレス補給船が安全にサリュート7号へドッキングできるようになることを意味する重要な成果でした。
船内の霜を取り除くため、機器への水の侵入を防ぎながら壁ヒーターを使って集中的に融解作業を行い、1日足らずで完了させました。その後の換気努力により、7月末には船内の湿度は通常のレベルに戻りました。ステーションの水タンク内の氷は6月末に融解しましたが、凍結によってヒーターが故障していたため、代わりに応急処置として強力なテレビの照明器具を熱源として使い、水を温めました。
このミッション中、ヴィクトル・サヴィヌイフ宇宙飛行士はサリュート7号に合計169日間滞在し、その後のソユーズTM-14ミッションで地球へ帰還しました。ウラディミール・ジャニベコフ宇宙飛行士は、復旧作業後の約110日間滞在した後、交代要員として到着したゲオルギー・グレチコ宇宙飛行士とステーションを引き継ぎ、ソユーズT-13宇宙船で地球へ帰還しました。
ソユーズT-13宇宙船が軌道離脱する直前には、約30時間に及ぶランデブーおよびドッキングに関する追加の試験が行われました。ソユーズT-13ミッションは、その大胆な計画、危険な手動ドッキング、そして凍結した巨大構造物を宇宙空間で蘇らせた復旧作業の成功により、宇宙開発の歴史において最も印象的で重要なミッションの一つとして語り継がれています。
ソユーズT-13の打ち上げ時の乗組員は、経験豊富な司令官ウラディミール・ジャニベコフ宇宙飛行士と、フライトエンジニアのヴィクトル・サヴィヌイフ宇宙飛行士の二人でした。ジャニベコフ宇宙飛行士にとっては、これが5度目の宇宙飛行であり、直前のソユーズT-12ミッションからの短いインターバルでの搭乗となりました。
サリュート7号へ接近したソユーズT-13の乗組員が目にしたのは、太陽電池パネルが不規則な方向を向き、本体がゆっくりと回転している死んだステーションの姿でした。手持ちの光波測距儀を使用し、慎重に距離を測りながら接近した彼らは、ステーションの外壁には明らかな損傷がないことを確認しましたが、移動コンパートメントの耐熱ブランケットは太陽光にさらされ続けたために鈍い灰色に変色していました。
凍結し、自動システムが機能しないステーションへのドッキングは、前例のない挑戦でした。ソユーズT-13は、宇宙ステーションへの手動ドッキングとしては史上初の事例となり、この困難な操縦のために宇宙船のコントロール系には若干の改良が施されていました。ジャニベコフ宇宙飛行士の卓越した手動操縦により、ソユーズT-13は無事サリュート7号へのドッキングに成功しました。
ドッキング後、乗組員はドッキングポートの電子コネクタを通じて、サリュート7号の全ての電子システムがダウンしていることを確認しました。ステーション内部へ入る前には、ハッチを開けることなく内部の空気を採取し、その組成を分析しました。空気は極めて冷たいものの、呼吸に問題がないことが確認されたため、二人は厳重な防寒対策として冬季用の手袋や帽子を着用してステーション内へ進入しました。内部は冷凍庫のように冷たく、壁や装置の表面は厚い霜に覆われていました。
凍てついたステーション内で彼らが最初に取り組んだのは、生命線である電源の復旧でした。サリュート7号に搭載されていた8基のバッテリーは全てが完全に放電しており、そのうち2基は損傷で使用不能になっていました。乗組員は、おそらくセンサーの故障が原因で太陽電池パネルが太陽を追尾できなくなり、その結果バッテリーが充電されず、最終的に全てのシステムが停止して通信が途絶えたのだと推測しました。
電源を復活させるため、彼らはソユーズT-13の推進システムを利用して、サリュート7号全体をゆっくりと回転させ、太陽電池パネルが再び太陽の方向を向くように操作しました。これにより、パネルからの電力供給が再開され、バッテリーの充電が始まりました。
乗組員の献身的な復旧作業により、ステーションの機能は段階的に回復していきました。6月10日には内部の暖房システムが再び稼働し（それまではソユーズT-13の空調システムで最低限の環境を維持していました）、6月13日には高度制御システムの正常な再動作に成功しました。これは、地球からの物資を積んだプログレス補給船が安全にサリュート7号へドッキングできるようになることを意味する重要な成果でした。
船内の霜を取り除くため、機器への水の侵入を防ぎながら壁ヒーターを使って集中的に融解作業を行い、1日足らずで完了させました。その後の換気努力により、7月末には船内の湿度は通常のレベルに戻りました。ステーションの水タンク内の氷は6月末に融解しましたが、凍結によってヒーターが故障していたため、代わりに応急処置として強力なテレビの照明器具を熱源として使い、水を温めました。
このミッション中、ヴィクトル・サヴィヌイフ宇宙飛行士はサリュート7号に合計169日間滞在し、その後のソユーズTM-14ミッションで地球へ帰還しました。ウラディミール・ジャニベコフ宇宙飛行士は、復旧作業後の約110日間滞在した後、交代要員として到着したゲオルギー・グレチコ宇宙飛行士とステーションを引き継ぎ、ソユーズT-13宇宙船で地球へ帰還しました。
ソユーズT-13宇宙船が軌道離脱する直前には、約30時間に及ぶランデブーおよびドッキングに関する追加の試験が行われました。ソユーズT-13ミッションは、その大胆な計画、危険な手動ドッキング、そして凍結した巨大構造物を宇宙空間で蘇らせた復旧作業の成功により、宇宙開発の歴史において最も印象的で重要なミッションの一つとして語り継がれています。
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