ソユーズT-3

ソユーズT-3：ステーション再生と新型宇宙船の試験飛行

ソユーズT-3は、ソビエト連邦（当時）が開発した新型宇宙船「ソユーズT」シリーズの3回目の軌道飛行ミッションです。この飛行は、ソユーズ計画において、ソユーズ11号以来およそ9年半ぶりに3名の宇宙飛行士が搭乗した画期的なミッションとなりました。彼らは地球の周りを204周する間に、軌道上の宇宙ステーション「サリュート6号」へとドッキングし、重要な任務を遂行しました。

このミッションの主な目的は二つありました。一つは、3名搭乗が可能なように改良されたソユーズT型宇宙船の性能と信頼性を軌道上で確認すること。もう一つは、長期運用によって老朽化が進んでいたサリュート6号宇宙ステーションの主要な機器を修理・交換し、その寿命を延長することでした。ソユーズT-3は、サリュート6号にとって通算13回目の有人宇宙船による訪問ミッションにあたります。

ソユーズT-3に搭乗したクルーは以下の3名です。

機長： レオニード・キジム（これが彼にとって初めての宇宙飛行でした）
フライトエンジニア： オレグ・マカロフ（彼は2回目の宇宙飛行経験を持つベテランでした）
* 研究宇宙飛行士： ゲンナジー・ストレカロフ（彼もまた初めて宇宙へ飛び立ちました）

彼らを支えるバックアップクルーとしては、ワシリー・ラザレフ（機長）、ヴィクトル・サヴィヌイフ（フライトエンジニア）、ワレリー・ポリャコフ（研究宇宙飛行士）の3名が準備を進めていました。

軌道上でサリュート6号にドッキングし、ステーション内に滞在した宇宙飛行士たちは、多岐にわたる活動を行いました。彼らの作業の大部分は、ステーションの機能維持と修理に費やされました。

具体的なメンテナンス作業として、まず12月2日には、ステーション内部の居住環境を評価するための「Mikroklimat」実験を実施するとともに、熱制御システムの点検と修理に着手しました。これと並行して、4つのポンプを備えた新しい水圧ユニットの取り付け作業を行いました。

続いて12月4日には、サリュート6号のテレメトリシステム、つまりステーションの状態を地上に送信するシステムの電子機器の交換作業が行われました。これにより、ステーションからのデータ伝送能力が維持・向上されました。

さらに12月5日には、電力供給システムに発生していた故障箇所の特定と修理が行われました。宇宙ステーションの運用にとって電力は不可欠であり、この修理は非常に重要な作業でした。

これらの主要な修理作業に加え、彼らは機内制御システムのプログラムおよびタイミング装置の交換や、推進剤補給システムに使用されるコンプレッサーの電力供給システムの交換など、複数の改修作業を実施しました。これらの徹底的なメンテナンスにより、サリュート6号はその後も運用を続けることが可能となりました。

メンテナンス作業の傍ら、宇宙飛行士たちはいくつかの科学実験も行いました。材料科学実験では、「Splav」および「Kristall」と呼ばれるユニットを使用して、宇宙空間という特殊な環境下での様々な材料の挙動や生成プロセスを研究しました。また、「Svetoblok」と「Oazis」というユニットを用いて、彼らがソユーズT-3宇宙船で持ち込んだ生物サンプルの観察と研究も行われました。

ソユーズT-3ミッションは、新型宇宙船ソユーズTの能力を示すとともに、サリュート6号宇宙ステーションの寿命を延ばす上で極めて重要な役割を果たしました。修理とメンテナンスに重点を置いたこのミッションは、長期的な宇宙ステーション運用の困難さと、それを支える宇宙飛行士たちの技術力を明確に示すものとなりました。

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