ソユーズTM-2

ソユーズTM-2は、1987年にソビエト連邦が実施した、宇宙ステーション「ミール」への有人ミッションです。本ミッションを契機に、ミールは2年以上にわたる常時有人運用時代へと突入しました。

ソユーズTM-2は、1987年2月5日に打上げられました。搭乗した乗組員は、司令官ユーリ・ロマネンコ飛行士（3回目の宇宙飛行）とフライトエンジニアのアレクサンドル・ラフェイキン飛行士（初飛行）です。宇宙船の軌道パラメータは、質量7100kg、近点341km、遠点365km、軌道傾斜角51.6度、軌道周期91.6分でした。

本ミッションはミールにとって2番目の長期滞在であり、ロマネンコ飛行士は326日間以上を過ごし、当時の宇宙滞在記録を更新しました。一方、ラフェイキン飛行士は軌道上で心臓疾患を発症し、早期に地球へ帰還しました。ソユーズTM-2が地球へ帰還する際に搭乗していた乗組員は、アレクサンドル・ヴィクトレンコ飛行士、アレクサンドル・ラフェイキン飛行士、そしてシリア出身のムハンマド・ファーリス飛行士でした。

ミール滞在初期に、科学観測モジュール「クバント1」が自動ドッキングを試みました。クバント1は、11トンの観測機器と9.6トンの機能サービスモジュール（FSM）から構成されていました。クバント1のミール後方ポートへの自動ドッキングは、技術的な問題に直面し、複数回失敗しました。

1987年4月5日の試みでは、自動接近システム「Igla」が最終誘導中に目標を見失い、約200mで停止しました。宇宙飛行士は、クバントがミールからわずか10mまで接近した状況を目撃しました。

ドッキングに失敗したクバント1とFSMは、ミールから約400km漂流しました。地上管制センター（TsUP）からの指示で呼び戻され、4月9日に2度目のドッキングが試みられましたが、クバントのドッキング機構のプローブユニットが完全に収納されず、再び失敗しました。

このトラブル解決のため、4月11日にロマネンコ飛行士とラフェイキン飛行士は緊急の船外活動を実施しました。彼らはドッキングポートを検査し、機構部分に異物が挟まっているのを発見しました。これは、以前に廃棄されたプログレス28号補給船からのゴミ袋と推測されました。地上管制センターからの指示により、彼らはプローブユニットを操作して異物を排除しました。異物排除後、クバントは地上からの操作で無事ドッキングに成功しました。この船外活動は3時間40分でした。クバント1をミールまで推進したFSMは、4月12日にクバント本体から分離されました。

ソユーズTM-2ミッションは、ロマネンコ飛行士の長期滞在記録樹立とクバント1モジュールの結合を成功させました。クバントのドッキングトラブルとその船外活動による解決は、宇宙開発における重要な事例です。このミッションとクバント1の結合は、ミール宇宙ステーションの能力向上と長期運用確立に大きく貢献しました。

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