ソルフィン・ソルザルソン

ソルフィン・カルルセヴニ：ヴィンランドへの挑戦者

ソルフィン・カルルセヴニ（Þorfinnr Karlsefni Þórðarson, 970年 - ?）は、ヴァイキング時代の終わり頃に活躍したアイスランドの商人であり、探検家です。彼は、レイフ・エリクソンが発見したヴィンランド（現在の北米大陸の一部）への入植を試みたことで歴史に名を残しています。

ヴィンランドへの航海

1010年頃、ソルフィンは60人から160人ともいわれる移民団を率いてヴィンランドを目指しました。これは、レイフ・エリクソンによる最初の探検に続く、本格的な入植の試みでした。しかし、この入植は数年で終わり、長続きはしませんでした。

ソルフィンの遠征以前にも、ヴィンランドへの試みは何度か行われています。レイフ・エリクソンが最初、次にソルヴァルドが試みましたが、ソルステインはグリーンランドで病死し失敗しました。ソルフィンはソルステインの未亡人であるグズリーズと結婚後、4回目の試みとしてヴィンランドへ向かい、成功を収めました。その後、レイフの異母姉妹であるフレイディースも遠征に参加したと伝えられています。

ヴィンランド滞在中、ソルフィンとグズリーズの間には息子スノッリが生まれました。スノッリは、新世界（アメリカ大陸）で生まれた最初のヨーロッパ人の子供として知られています。

サガにおけるソルフィン

ソルフィンの生涯や遠征については、『グリーンランド人のサガ』と『赤毛のエイリークのサガ』に詳しく記述されています。これらのサガは、彼の業績を伝える貴重な資料です。

グリーンランドでの出会い

ソルフィンは交易のためグリーンランドに渡り、そこでソルビョルンの娘グズリーズと出会います。グズリーズは、かつてヴィンランドへの航海を試みたソルステイン・エイリークソンの未亡人でした。ソルフィンはグズリーズと結婚し、彼女と共にヴィンランドへの入植を決意します。

ヴィンランドへの移住

ソルフィンは、妻グズリーズの強い希望もあり、ヴィンランドへの移住を決断します。レイフ・エリクソンは、以前に建てた家屋をソルフィンたちに貸し与えますが、譲渡は拒否しました。ソルフィンは、男60人と女5人（または3隻の船で160人）を率いてヴィンランドへ出発し、レイフやソルヴァルドが確立した航路をたどりました。

ヴィンランドでの生活は困難を極めましたが、ソルフィンたちは開拓を進め、グズリーズは息子スノッリを出産しました。スノッリは、北米大陸で生まれた最初のヨーロッパ人の子供として、特別な存在となりました。

ソルフィンが開拓した植民地の正確な位置は特定されていませんが、カナダのニューファンドランド島にあるランス・オ・メドーの遺跡が候補地の一つとして挙げられています。しかし、この地域ではブドウが自生しないため、ヴィンランドではないという説も存在します。

サガによれば、ヴィンランドにはストラウムフィヨルドとホープという入植地がありました。ホープでは、ソルフィンたちは野生の麦やブドウを収穫しましたが、先住民との争いが起こり、最終的に撤退を余儀なくされました。

その後、レイフの異母姉妹フレイディースもヴィンランドへ遠征しましたが、内紛による殺戮事件が発生し、悲劇的な結末を迎えたと伝えられています。

カルルセヴニの意味

ソルフィンの綽名である「カルルセヴニ」は、「男の資質」や「徹底的な男」といった意味合いを持つと解釈されています。

サガの史実性

『グリーンランド人のサガ』と『赤毛のエイリークのサガ』は、ソルフィンの業績を伝える重要な資料ですが、史実性については議論があります。『赤毛のエイリークのサガ』は、ソルフィンの功績を脚色している部分があると指摘されています。

例えば、『赤毛のエイリークのサガ』では、ソルフィンがヘルランド、マークランド、キャラルネスといった新天地を命名したとされていますが、これは誤りであると考えられています。実際には、ヘルランドとマークランドはレイフ・エリクソンが命名し、キャラルネスはソルヴァルドが破損した船の竜骨を立てた場所でした。

近代におけるソルフィン

20世紀初頭には、アイスランドの彫刻家エイナル・ヨーンソンによって、ソルフィン・カルルセヴニの像がアメリカ合衆国ペンシルベニア州フィラデルフィアに建てられました。

ソルフィン・カルルセヴニは、ヴィンランドへの入植という壮大な夢を追い求めた、勇敢な探検家として記憶されています。彼の足跡は、ヴァイキングの歴史における重要な出来事として、語り継がれています。

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