ソングス・フォー・ジャパン

『ソングス・フォー・ジャパン』(Songs for Japan) は、2011年3月11日に日本で発生した東北地方太平洋沖地震（東日本大震災）の被災地復興を支援するために企画された、特別なチャリティー・コンピレーション・アルバムです。

このプロジェクトは、当初ユニバーサル ミュージックが独自に進めていたものですが、その発表後すぐにソニー・ミュージック、ワーナー・ミュージック、EMIという他の大手レーベルが賛同の意を示しました。この異例の協力体制により、世界の主要な4大メジャーレコード会社が垣根を越えて共同制作するという、音楽業界でも類を見ない形で実現しました。

アルバムには、デジタルダウンロード版では38曲、CD（フィジカル）版では37曲が収録されています。選曲されたのは、ジョン・レノンの象徴的な楽曲「イマジン」からレディー・ガガのヒット曲「ボーン・ディス・ウェイ」まで、欧米の著名なアーティストによる新旧の代表的な楽曲が幅広く集められました。同種のチャリティーアルバム『ホープ・フォー・ハイチ・ナウ』とは異なり、本作に収められた音源の大部分は既に発表済みのものが使用されています。しかしながら、スタースミスによる「ボーン・ディス・ウェイ」のリミックスバージョンや、R.E.M.が東京でのライブで披露した「マン・オン・ザ・ムーン」の音源など、本作のために提供された一部の未発表テイクも含まれています。また、クイーンの「手をとりあって」やマドンナの「マイルズ・アウェイ」のように、日本と特にゆかりの深い楽曲も意識的に選ばれています。

販売は、地震発生からわずか14日後の2011年3月25日に、iTunes Storeを通じて世界中でデジタル配信が開始されました。このデジタル版はリリース直後から大きな反響を呼び、配信された22か国中18か国でアルバムチャートの1位を獲得しました。発売から最初の3日間だけで、全世界で14万回以上のダウンロードを記録しました。特に米国では約6万8000回のダウンロードがあり、米国の主要アルバムチャートであるビルボード200では、わずか3日間の集計期間にも関わらず初登場6位を記録し、翌週には最高位の5位へと順位を上げました。デジタル配信の成功に続き、同年4月からはソニー・ミュージックを配給元として、2枚組CDのフィジカル版が世界各国で順次リリースされました。日本国内では、輸入盤CDのみでありながら、日本盤CDの発売に先駆けて2011年5月2日付のオリコン週間アルバムランキングで、洋楽部門1位、総合でも3位に初登場するという快挙を達成しました。これは、オリコン史上初めて、輸入盤のみで総合トップ10入りを果たしたアルバムとして記録されています。

本アルバムは純粋なチャリティー目的で制作されたため、制作に関わったすべてのレコード会社、音楽出版社、そして参加アーティストは、販売によって生じる著作権料や印税といった対価を一切受け取らないという体制が取られました。さらに、デジタル配信プラットフォームであるiTunes Storeの手数料分も含め、売上によって得られた収益の全額が、東日本大震災の義援金として日本赤十字社に寄付されることになっています。

こうした取り組みの結果、リリースから約1ヶ月後の2011年5月には、制作を担当したレコード会社から既に合計500万米ドル（当時の為替レートで約4億円以上）の寄付が完了したことが公表されました。CDとデジタルダウンロードを合わせた全世界での総売上は、最終的に120万枚（ユニット）以上に達し、多大な金額が被災地支援のために届けられました。『ソングス・フォー・ジャパン』は、音楽が国境やレーベルの壁を越え、困難な状況にある人々を支援するために大きな力となり得ることを示した、特筆すべきプロジェクトとなりました。

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