R.E.M.

R.E.M.: オルタナティブロックのパイオニア、その栄光と軌跡

R.E.M.は、1980年代のオルタナティブロックシーンを代表するアメリカ合衆国のロックバンドとして、その独特の音楽性とカリスマ性で世界中に多くのファンを獲得しました。1980年、ジョージア州アセンズでマイケル・スタイプ（ボーカル）、ピーター・バック（ギター）、マイク・ミルズ（ベース）、ビル・ベリー（ドラム）の4人によって結成されたR.E.M.は、インディーレーベルからキャリアをスタートさせ、その後メジャーシーンへと躍進。30年以上にわたる活動期間中に数々の名盤を生み出し、音楽史に大きな足跡を残しました。

インディーズ時代：ミステリアスなサウンドの誕生

初期のR.E.M.は、アルペジオを多用したギターサウンドとメロディアスなベースラインが特徴的な、独特のサウンドで注目を集めました。スタイプの聞き取りにくいボーカルと、歌詞が一切掲載されていなかったアルバムは、ミステリアスな雰囲気を醸し出し、彼らの音楽性をさらに際立たせていました。パンク、サイケデリック、カントリーといった様々な音楽的要素を融合させた彼らのサウンドは、ニューウェーブ的な要素も持ち合わせており、デビューアルバム『Murmur』は『ローリング・ストーン』誌の1983年ベストアルバムにも選出されるなど、早くから高い評価を獲得しました。

メジャー移籍後の進化：商業的成功とメッセージ性の強化

1988年、R.E.M.はメジャーレーベルであるワーナーへと移籍。アルバム『Green』では、マンドリンやアコーディオンなどのトラディショナルな楽器を取り入れ、サウンドに新たな広がりを持たせました。このアルバムから生まれた「Losing My Religion」は、彼らの代表曲の一つとなり、世界的なヒットを記録しました。

その後も、ストリングスを大胆に取り入れた『Automatic for the People』、ノイジーなロックサウンドが印象的な『Monster』、ライブ音源を収録した『New Adventures in Hi-Fi』など、作風を変えながらも高い評価を得る作品を次々と発表。スタイプのボーカルはよりクリアになり、歌詞の内容も政治的なメッセージを含むものへと変化していきました。ステージ上でのパフォーマンスでも政治的なメッセージを強く発信するようになり、彼らの姿勢はオルタナティブロックの潮流そのものを代表する存在となりました。

メンバー、影響、そして関連アーティスト

R.E.M.のメンバーは、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、パティ・スミス、テレヴィジョンなどのアーティストから強い影響を受けていました。特に、パティ・スミスは『New Adventures in Hi-Fi』に収録されている「E-Bow the Letter」に参加しています。また、彼らはヴェルヴェット・アンダーグラウンドの楽曲を数多くカバーしており、その影響の深さがうかがえます。

R.E.M.は、レディオヘッドのトム・ヨーク、コールドプレイのクリス・マーティン、ソニック・ユース、パール・ジャム、ペイヴメントのスティーヴン・マルクマス、ブラーとゴリラズのデーモン・アルバーンなど、多くのアーティストから敬愛されています。ニルヴァーナのカート・コバーンもR.E.M.のファンとして知られており、『Automatic for the People』は彼が自殺する直前に聞いていたとされるアルバムとしても知られています。

輝かしい商業的成功と解散

全米各地のカレッジラジオのサポートを受けながら人気を拡大していったR.E.M.は、「The One I Love」をヒットさせ、アルバム『Document』は初のミリオンセラーを記録。1991年の『Out of Time』はグラミー賞7部門にノミネートされ、「Losing My Religion」は全米4位を記録するなど、数々の商業的成功を収めました。『Automatic for the People』は全世界で1500万枚以上を売り上げ、彼らの代表作の一つとなりました。

しかし、1997年にビル・ベリーが健康上の理由で脱退。その後3人で活動を続けたR.E.M.でしたが、2011年9月21日、公式ホームページで解散を発表しました。

まとめ：オルタナティブロックの歴史に刻まれたバンド

R.E.M.は、その独特の音楽性とメッセージ性で、オルタナティブロックシーンに大きな影響を与えました。インディーズ時代から培ってきた独自のサウンド、メジャーシーンでの商業的成功、そしてメンバー間の深い絆。これらの要素が一つになり、R.E.M.という伝説的なバンドを作り上げました。彼らの音楽は、これからも多くのリスナーを魅了し続けることでしょう。

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