ソングズ・イン・ジ・アティック

ビリー・ジョエル『ソングズ・イン・ジ・アティック』：屋根裏部屋の歌に新たな光を

『ソングズ・イン・ジ・アティック』（Songs in the Attic）は、1981年にビリー・ジョエルが発表した初のライブ・アルバムです。このアルバムは、彼の初期の4枚のアルバムから選ばれた楽曲で構成されており、1980年のアメリカ・ツアーで録音された音源が使用されています。

制作の背景

このアルバムが特筆すべき点は、『ストレンジャー』（1977年）以降の楽曲のライブ音源が意図的に除外されていることです。ビリー・ジョエルは、アルバムの英文ライナーノーツで、これらの初期の曲を「屋根裏部屋の歌」と呼び、コンサートという形で再紹介したいという思いを語っています。彼は、初期のアルバムについて「曲は好きだが、ライブのようなエネルギーや楽しさがない」と感じており、よりふさわしい形で演奏された昔の曲を集めることを意図していました。

プロデューサーのフィル・ラモーンは、英文ライナーノーツの中で、観客の中にはビリーの古い曲をよく知らず、最新曲であるかのように反応した人もいたと述べています。この事実は、このアルバムが単なるライブ盤ではなく、ビリー・ジョエルの初期の作品を再評価し、新たなファン層にアピールする意図を持っていたことを示唆しています。

シングルとベスト・アルバム

このアルバムからは、「さよならハリウッド」（全米17位）と「シーズ・ガット・ア・ウェイ」（全米23位）がシングルとしてリリースされました。これらの曲は、ベスト・アルバム『ビリー・ザ・ベスト』にも収録されており、「さよならハリウッド」は本作のライブ・バージョンが採用されています。

収録曲について

『ソングズ・イン・ジ・アティック』には、以下の楽曲が収録されています。

1. マイアミ2017
2. 夏、ハイランドフォールズにて
3. 街の吟遊詩人は…
4. ロスアンジェルス紀行
5. シーズ・ガット・ア・ウェイ
6. エヴリバディ・ラヴズ・ユー・ナウ
7. さよならハリウッド
8. キャプテン・ジャック
9. 僕の故郷
10. さすらいのビリー・ザ・キッド
11. 楽しかった日々

これらの楽曲は、ニューヨーク、ボストン、ワシントンD.C.、セントポール、ニューヘイブン、ミルウォーキー、フィラデルフィア、シカゴなど、様々な都市での公演で録音されました。

参加ミュージシャン

アルバムには、以下のミュージシャンが参加しています。

ビリー・ジョエル - ボーカル、ピアノ、シンセサイザー、ハーモニカ
ダグ・ステッグマイヤー - ベース
リバティ・デヴィート - ドラムス、パーカッション
デヴィッド・ブラウン - リードギター
ラッセル・ジェイヴァース - リズムギター
リッチー・カナータ - サックス、フルート、オルガン

まとめ

『ソングズ・イン・ジ・アティック』は、ビリー・ジョエルの初期の楽曲をライブという形で再評価し、新たな魅力を引き出した作品です。彼のルーツに触れることができるだけでなく、ライブ・パフォーマンスならではの熱気とエネルギーを感じることができます。初期のファンはもちろん、ビリー・ジョエルの音楽に初めて触れる人にとっても、必聴のアルバムと言えるでしょう。

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