ソンソン

『ソンソン』は、日本のゲームメーカーであるカプコンが1984年にアーケードゲームとしてリリースしたアクションシューティングゲームです。中国の古典小説『西遊記』をモチーフとした日本版絵本から着想を得ており、プレイヤーは孫悟空の孫である「ソンソン」や、猪八戒がモデルの相棒「トントン」を操作して冒険を進めます。カプコン作品としては初めて、2人同時プレイおよび協力プレイが可能なゲームとして開発されました。

アーケード版の稼働後、本作は様々な家庭用ゲーム機にも移植されています。また、1989年には続編となる『SON SON II』がPCエンジン向けにリリースされました。

ゲームシステム

本作は、画面が自動的に横スクロールするシューティングゲームでありながら、プレイヤーキャラクターの移動には特徴があります。フィールドは横方向に6つの段に区切られており、左右への移動は自由に行えますが、上下の移動は段を乗り換える形で行います。攻撃手段は進行方向へ発射されるショットのみで、敵を倒しながら道を進んでいきます。自機のパワーアップ要素は存在しません。画面に登場する敵キャラクターはすべて、プレイヤーのショットで破壊することが可能です。

ストーリー

物語は、三蔵法師、河童、そして馬が大魔神によって連れ去られてしまう場面から始まります。残されたソンソンとトントンは、大魔神を打ち破り、お釈迦様の巻物を手に入れるために、遥か遠い天竺を目指す危険な旅へと出発します。

登場キャラクター

プレイヤーとその仲間

ソンソン: 本作の主人公であり、孫悟空の孫にあたります。名前は「孫孫」に由来し、主に1P側が操作します。
トントン: ソンソンの相棒で、猪八戒をモチーフとしています。名前は「豚豚」を意味し、2P側で操作するキャラクターです。
スイスイ: 沙悟浄がモチーフ。オリジナルのアーケード版では三蔵法師と共に攫われていましたが、後に携帯アプリ版でプレイヤーキャラクターとして追加されました。
サンゾウ: 三蔵法師がモチーフ。物語の冒頭でスイスイや馬と共に大魔神に捕らわれます。

敵キャラクター

石地蔵の「デク」、ピラニアの「ラニア」、コウモリの「アンブレ」、山賊の「ブリガン」、トンボの「赤次郎」「青次郎」など、様々な敵が出現します。これらの敵はグループで登場することが多く、特定のグループを全て倒すとボーナス点が得られます。障害物として、破壊可能な円盤「スピンスカル」や砦の壁「ウォールスカル」があり、砦には爆弾を投げる守り手「チェン」がいます。中ボスとしては、耐久力のある盾を持ち、斧を投げてくる「魔人」が登場します。

ボーナスアイテム

ゲーム中には様々なアイテムが出現し、スコア獲得に繋がります。「スモールフーズ」は決まった場所に出現する食べ物アイテムで、先のステージほど高得点になります。「ジャンボフーズ」はスモールフーズを一定数集めると出現し、より高得点です。特定の場所やジャンボフーズ取得数に応じて現れる「Pow」を取ると、画面上の敵がすべてジャンボフーズに変化します。地面から生えてくる隠しアイテム「竹の子」や、特定の砦を素早くクリアすると出現する「弥七」といったボーナスもあります。ジャンボフーズを取り逃した際には、「エリマキトカゲ」や「ミソラ」が登場して別のアイテムに変えてくれることもあります。

開発秘話

本作の開発は、当時カプコンに新設された開発部署で行われました。メインプロデューサーである岡本吉起氏と、かつてコナミで同期だった藤原得郎氏らが中心となり、2ライン体制で開発が進められました。当初、岡本氏はメカニカル系、藤原氏はキャラクター系のゲーム開発を得意としていましたが、本作ではあえて担当を交換し、岡本氏が『ソンソン』を、藤原氏が『バルガス』を手がけました。モチーフに『西遊記』を選んだのは、海外で受け入れられやすい豚と、国内で馴染み深い猿というキャラクターから発想を得たもので、立ち上げたばかりで販売力が弱かったカプコンが市場で売りやすくするための販売戦略的な側面があったとされています。隠しアイテムの「竹の子」は、ナムコ（当時）の『ゼビウス』に登場する「ソル」へのオマージュです。また、カプコン初期作品によく見られる「Pow」や「弥七」は、藤原氏がカプコンの認知度を高めるため、一目でカプコンのゲームだとわかる共通キャラクターが必要だと考え、ブランディング戦略として導入したものです。これはナムコの「スペシャルフラッグ」のような役割を目指したものでした。開発時には容量の制限により、予定されていたマップの一部が省略されたことが、一部のアイテム配置などに影響していると言われています。本作のメインBGMには歌詞が存在し、ファミコン版の取扱説明書には楽譜と共に掲載されていました。

移植と派生

本作は家庭用ゲーム機などに移植されています。特に2005年以降に配信された携帯電話アプリ版では、オリジナルのアーケード版で攫われていたスイスイが新たなプレイヤーキャラクターとして追加され、ソンソン（バランス型）、トントン（パワー型）、スイスイ（スピード型）とそれぞれ性能に差別化が図られました。

2024年には、カプコンによる公式開発ではないものの、インディーゲームとして『ソンソンデラックス』と名付けられたリメイク作品が公開されました。この作品では、ソンソン、トントンに加え、スイスイ、タンタン、サンゾウを含む合計5体のキャラクターから選択可能となり、それぞれ異なる武器や性能を持つキャラクターを組み合わせてプレイする戦略性が加わっています。オリジナルのアーケード版をベースにしつつ、マップの変化やボス戦のエフェクト追加など、ゲームプレイの改良が施されています。

評価と関連作品

ゲーム雑誌『ファミリーコンピュータMagazine』の読者による評価では、隠れキャラクターや可愛らしいキャラクターデザイン、軽快なゲーム音楽が良い点として挙げられる一方、キャラクターの動きには難があるという評価もありました。

続編『SON SON II』は、PCエンジン向けに発売されましたが、ゲーム内容はアーケードゲーム『ブラックドラゴン』をベースに『西遊記』のキャラクターデザインを適用したアレンジ移植であり、キャラクター名も孫悟空や猪八戒に変更されています。

他のカプコン作品では、『スーパーパズルファイターIIX』のステージ背景にソンソンが登場したり、『MARVEL VS. CAPCOM 2』に本作のソンソンのさらに孫という設定のオリジナルキャラクター「ソンソン」が登場したりと、関連が見られます。『ポケットファイター』でも主要キャラクターがアイテムキャリアーとして登場しています。また、1980年代後半に放映されたテレビ番組『痛快なりゆき番組風雲!たけし城』のコーナーで、本作のメインBGMが使用されたこともあります。

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