ソ連共産党第20回大会

ソ連共産党第20回大会とスターリン批判

1956年2月14日から25日にかけて開催されたソ連共産党第20回大会は、冷戦期の国際情勢を大きく変容させる転換点となりました。この大会で最も重要な出来事といえば、ニキータ・フルシチョフによるスターリン批判演説です。

それまでソ連社会において絶対的な権威として君臨していたスターリンの非道な独裁政治、大量粛清、個人崇拝などが、フルシチョフによって詳細に暴露されました。この演説は、事前に参加者以外には知らされておらず、いわば秘密裏に行われたものでした。しかし、その内容は後にアメリカ国務省によって世界中に公開され、世界中に衝撃を与えたのです。

演説の内容:

フルシチョフの演説は、スターリンの残虐行為を詳細に列挙し、その独裁体制の非民主的な性質を糾弾するものでした。スターリンによる大量粛清、党内外の反対派に対する弾圧、恣意的な逮捕と処刑、そして、経済政策における誤りなども厳しく批判されました。演説では、スターリンの権力闘争や、個人的な野心によって多くの犠牲者が生まれたという事実が明らかにされました。これらは、それまでソ連国民にとってタブーとされていた事実であり、多くの衝撃を与えました。

世界への影響:

この秘密演説は、ソ連国内だけでなく、東ヨーロッパ諸国、そして世界中に大きな波紋を広げました。

まず、ソ連衛星国においては、スターリンへの盲信が揺らぎ、脱スターリン化を求める動きが活発化しました。ポーランドではポズナン暴動、ハンガリーではハンガリー動乱といった大規模な反政府運動が発生し、ソ連軍の介入を招く事態となりました。これらの出来事は、冷戦構造における東側諸国の不安定性を浮き彫りにし、国際社会に緊張をもたらしました。

さらに、この演説はソ連と中国との関係にも深刻な影響を与えました。中国共産党は、スターリン批判をソ連の修正主義と見なし、ソ連との対立を深めていきました。これは、後に中ソ対立へと発展する端緒となりました。

歴史的意義:

ソ連共産党第20回大会におけるスターリン批判は、単なる個人批判にとどまらず、全体主義体制の限界や、独裁政治の危険性を改めて世界に示すこととなりました。この出来事を契機に、東ヨーロッパ諸国においては、脱スターリン化、民主化、自由化を求める動きが強まりました。また、冷戦構造における新たな緊張関係や、イデオロギー対立の激化など、国際情勢にも大きな影響を与えたことは言うまでもありません。

参考文献:

* 下斗米伸夫, 「スターリン批判と金日成体制 : ソ連大使館資料を中心に」『法学志林』 法学志林協会 103巻 1号 2005年 p.1-76, ISSN 03872874

本大会は、ソ連の歴史、ひいては20世紀の世界史における重要な転換点であり、その影響は現在も世界各地に及んでいると言えるでしょう。

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