ゾンド5号

ゾンド5号：ソ連の月探査への挑戦

ゾンド5号は、1968年にソビエト連邦によって打ち上げられた無人宇宙船です。このミッションは、アメリカのアポロ計画に対抗するソ連の有人月飛行計画の一環として実施されました。ゾンド5号は、ソユーズ7K-L1宇宙船の試験機としての役割を担い、月を周回して地球に帰還するという重要なミッションを成功させました。

設計

ソ連は、有人月接近飛行を目指すL1計画と、有人月着陸を目指すL3計画を推進していました。ゾンド5号は、このうちL1計画の中核となるソユーズ7K-L1宇宙船をベースに設計されました。7K-L1は、他のソユーズ宇宙船と同様に、宇宙飛行士が搭乗する帰還船と、太陽電池パネルやロケットエンジンを搭載した機械船の2つのモジュールで構成されています。帰還時には、機械船を切り離し、帰還船のみが大気圏に突入して着陸する仕組みになっています。ただし、他のソユーズ宇宙船とは異なり、軌道船は搭載していません。

飛行

ゾンド5号には、リクガメ、ショウジョウバエ、ミールワーム、植物や種子、細菌、そして放射線検出器を搭載した等身大の人形が搭載されました。これらの生物や物体は、宇宙環境が生物に与える影響を調査するためのものでした。

1968年9月14日、ゾンド5号はバイコヌール宇宙基地からプロトンロケットによって打ち上げられました。宇宙船はまず地球周回軌道に入り、その後、月に向けて出発しました。飛行中には、姿勢制御センサーの故障が発生しましたが、予備のセンサーに切り替えることで対応しました。9[[月18日]]には、月をスイングバイして地球への帰路につきましたが、この時、予備の姿勢制御センサーも故障しました。このため、本来予定していた大気水切り飛行による着陸を断念し、直接大気圏に突入することになりました。

9[[月21日]]、ゾンド5号は大気圏に突入し、高度7kmでパラシュートが展開してインド洋に着水しました。その後、ソ連の回収艦によって無事回収されました。回収された生物は、いずれも無事でした。特に、リクガメは、体重が若干減少したものの、食欲も減退しておらず、宇宙環境に適応していることが確認されました。

ゾンド5号の意義

ゾンド5号のミッションは、有人月飛行計画における重要なステップでした。特に、宇宙環境における生物への影響を調査したことは、後の有人宇宙飛行に貴重なデータを提供しました。また、姿勢制御装置の故障というトラブルにも見舞われながらも、無事帰還に成功したことは、ソ連の宇宙技術の高さを証明するものでもありました。

参考文献

NSSDC Master Catalog: Zond 5 NASA - NSSDC

関連項目

ソ連の有人[[月旅行計画]]
ソユーズL1計画
アポロ計画
* ソユーズの一覧

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