タイプキャスト

タイプキャスト (Typecast)

タイプキャストは、アメリカ合衆国で生まれた競走馬であり、その後繁殖牝馬としても知られています。競走馬としては、重賞競走において7勝を挙げ、1972年度にはアメリカでの最優秀古牝馬に選出されるほどの実力を備えた名馬です。引退後は日本に輸出され、数々の優秀な産駒を生み出しました。

経歴

タイプキャストの競走馬としてのキャリアは非常に印象的です。牝馬でありながらも57戦を戦い抜いた彼女は、5歳で初めて重賞優勝を果たし、6歳の時に最優秀古牝馬の栄誉を手にしました。特に注目すべきは、牡馬とのレースでも優れた成績を残した点です。ハリウッドインビテーショナルターフハンデキャップや最後のレースとなったマンノウォーステークスでは、牡馬相手に勝利するなど、その力を遺憾なく発揮しました。また、競走生活の中でコンヴィニアンスとのマッチレースを経験するなど、彼女の人気は高まり続けました。

引退後、射程外になったタイプキャストは、日本へ輸出されることになります。その理由は、オーナーであるフレッチャー・ジョーンズが飛行機事故に遭い、彼の所有牧場が閉鎖されることが発表されたからです。この時、タイプキャストは日本の吉田重雄によって72万5000ドルという当時としては最高額で落札され、その移籍が日本競馬史に大きな関心を集めました。

繁殖牝馬としての活躍

日本にやってきたタイプキャストは、最初にアイルランドで種付けを受けることに決めました。その後、牡駒のタイプアイバーを出産しました。残念ながら、タイプアイバーは競走馬として成功を収めることはできませんでしたが、良血の影響で種牡馬に転身しました。さらに、1980年には彼女の牝駒プリテイキャストが天皇賞（秋）で劇的な勝利を収め、母娘で米日の最優秀古牝馬となる偉業を達成しました。プリテイキャストはその後も成功を収め、母の名声を引き継ぐ存在となりました。

吉田重雄は「タイプキャストの素晴らしい血統を世界に還元すべきだ」との思いから、1981年に彼女を4頭の産駒と共に再びアイルランドに送り出しました。その後、タイプキャストからの直接的な優秀馬は出なかったものの、彼女の子孫には優れた競走馬も見受けられます。特に、第3仔のラッキーキャストの産駒フジヤマケンザンは、1995年の香港国際カップで日本馬として初めて海外G1級競走に優勝する偉業を達成しました。

競走成績

• - 1969年（3歳）：13戦2勝
• - 1970年（4歳）：17戦6勝
• - 1971年（5歳）：13戦7勝（ラスパルマスステークス）
• - 1972年（6歳）：14戦6勝（サンタモニカハンデキャップ、ロングビーチハンデキャップ、ミレイディハンデキャップ、ハリウッドインビテーショナルターフハンデキャップ、サンセットハンデキャップ、マンノウォーステークス）

これらの成績からも、タイプキャストがどれほどの実力を持っていたかが伺えます。彼女は単なる競走馬に留まらず、繁殖母馬としても競馬界に大きな影響を与え続けています。彼女の存在は、今なお多くのファンに愛され続けているのです。

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