タイム (ピンク・フロイドの曲)

ピンク・フロイド「Time」：時間と向き合う不朽の名曲

ピンク・フロイドの1973年のアルバム『狂気』に収録された「Time」は、時間というテーマを深く掘り下げた楽曲です。この曲は、ロジャー・ウォーターズの作詞、ピンク・フロイドのメンバー全員による作曲で、デヴィッド・ギルモアとリチャード・ライトがそれぞれボーカルを担当しています。

楽曲解説

「Time」は、F#マイナーキーで構成され、冒頭の時計の音は、骨董品店で録音されたものです。この時計の音に続き、ニック・メイスンのドラムソロとロジャー・ウォーターズのベースが加わり、独特の雰囲気を醸し出しています。ギルモアが歌うヴァースとライトが歌うブリッジが交互に現れ、楽曲に深みを与えています。

構成

イントロ: 骨董品店で録音された様々な時計の音が重なり、時間の経過を象徴しています。ニック・メイスンのロートトムとロジャー・ウォーターズのミュートされたベースが、時計の針の音を表現しています。
ヴァース: デヴィッド・ギルモアがリードボーカルを担当。コード進行はF#マイナー、Aメジャー、Eメジャー、F#マイナーの循環です。ギルモアのギターとライトのキーボードが左右に分かれ、広がりのあるサウンドを作り出しています。
ブリッジ: リチャード・ライトがリードボーカルを担当。マルチトラックの女性バックコーラスとギルモアのコーラスが加わります。コード進行はDメジャー7thとAメジャー9thの繰り返しで、後半ではDメジャー7thからC#マイナー、Bマイナー、Eメジャーへと進行します。
ギターソロ: ギルモアによるギターソロが、ヴァースからブリッジにかけて演奏されます。Lexicon PCM-70を使用して、特徴的なサーキュラー・ディレイが再現されています。
Breathe (Reprise): 楽曲の終盤には、「Breathe」の再演部分が挿入され、アルバム全体の流れを繋いでいます。

歌詞の意味

歌詞は、人生における時間の経過と、それに伴う焦燥感や後悔の念を表現しています。ウォーターズは、28歳か29歳の頃に、人生において何の準備もしていないことに気づき、このテーマを思いついたと語っています。

ライブパフォーマンス

ピンク・フロイドは、1972年から1975年、そしてウォーターズ脱退後の1987年から1994年にもこの曲をライブで演奏しました。ウォーターズはソロコンサートでもこの曲を演奏しており、ギルモアもソロツアーでこの曲を披露しています。ライブパフォーマンスでは、イアン・エムズによるアニメーション映画が背景に投影されることもありました。

評価

ローリング・ストーン誌のロイド・グロスマンは、「Time」を「デヴィッド・ギルモアによるパワフルなギターソロを備えた素晴らしいカントリー調のロッカー」と評しています。

参加メンバー

デヴィッド・ギルモア: エレキギター、ボーカル、コーラス
リチャード・ライト: オルガン、エレクトリックピアノ、EMS VCS 3、リードボーカル
ロジャー・ウォーターズ: ベース、EMS VCS 3
ニック・メイスン: ドラム、ロートトム
ドリス・トロイ、レスリー・ダンカン、ライザ・ストライク、バリー・セント・ジョン: バックボーカル

大衆文化での使用

「Time」は、映画『エターナルズ』のオープニングで使用されたり、テレビ番組『ひらけ!ポンキッキ』のミニコーナーで使用されたりするなど、様々なメディアで利用されています。

「Time」は、ピンク・フロイドの代表曲の一つであり、時を超えて多くの人々に愛され続けています。その哲学的な歌詞と美しい旋律は、聴く者の心に深く響き、時間を意識させ、人生の意味を問いかけます。

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