タイム・トラベラー

タイム・トラベラー

『タイム・トラベラー』は、1972年にNHKが制作した青少年向けのSFテレビドラマです。本作は「少年ドラマシリーズ」の第1作で、筒井康隆の小説『時をかける少女』が原作となっています。1971年の夏に企画され、1972年1月1日から2月5日まで放送されました。この作品は好評を得たため、同じスタッフとキャストによる続編『続 タイムトラベラー』も制作され、同年11月4日から12月2日まで放映されました。

制作背景

本作品には、語り手として城達也が参加していますが、照明はダウンライトを使用しており、視聴者からは顔がほとんど見えない工夫がされています。これは、城が自身のイメージを守るため、テレビ出演時には顔が見えることを避けたかったためです。また、この作品ではクロマキー技術を使用した特殊効果も盛り込まれています。

ストーリー

物語は、普通の中学生芳山和子が、理科準備室で香りを嗅ぐことから始まります。この香りはラベンダーのものでした。彼女は、同じクラスの深町一夫が実は700年後の未来から来たケン・ソゴルであることに気づきます。ケンは、未来に帰るための薬を調合するために、架空の人物として生活していました。ラベンダーの香りはその薬の材料の一つです。

和子は、この香りを嗅いだことでタイム・トラベルの能力が芽生えます。彼女はショックを受けると、過去や未来の世界を行き来できる力を得ました。しかし、訪れた先で知った未来の出来事に対して何もできないという無力感に苛まれます。ケンの言葉によれば、タイムトラベルはできても、過去や未来を変えることは許されていません。

和子とケンは助け合いながら、次第に淡い恋愛感情が芽生えます。やがて、ケンは未来に帰るための薬品を完成する段階に達し、和子を含む周囲の記憶を消去しなければならないことを告げます。和子は、ケンとの思い出が消えてしまうことを悲しみますが、タイム・ルールに従わなければなりません。ケンは記憶を消去した後、未来に帰っていきます。

そして、ケンの記憶を失った和子は、普通の中学生として受験勉強に励む日常に戻ります。しかし、彼女のタイム・トラベルの能力は失われたのか、今後何らかのきっかけで再び戻る可能性が残されているのです。

再放送の経緯

『タイム・トラベラー』の放送当時、映像がNHKに保存されていなかったため、一部視聴者により録画されていた最終回が1998年に発見されました。音声はその時点ですでに存在していましたが、映像は補修されて音声も追加され、ほぼ完全な状態に復元されました。1999年にはNHKの『土曜スタジオパーク』で一部が放送され、その後2001年には再放送され、DVDも発売されました。加えて、音楽の音源も発見され、2006年にはサウンドトラックがリリースされました。

主なキャスト

• - 芳山和子 - 島田淳子
• - ケン・ソゴル（深町一夫） - 木下清
• - 柳沢由美 - テレサ野田
• - 福島先生 - 浜田晃
• - 山形先生 - 榊原史子
• - 校長先生 - 西国成男
• - 山崎先生 - 神山卓三
• - 他のキャストにも個性的な役者が揃っていました。

『タイム・トラベラー』は、タイムトラベルという魅力的なテーマとともに、青春や恋愛、無力感など深いテーマが描かれています。この作品は、今でも視聴者の心に残る名作となっているのです。

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