タイム・トラベル/ジョイ

タイム・トラベル／ジョイ

『タイム・トラベル／ジョイ』は、1978年4月10日にリリースされた原田真二の4作目のシングルであり、彼にとって初の両A面シングルとなります。このシングルは、アルバム『Feel Happy』と同年に発売されたもので、前作「シャドー・ボクサー」まではデビュー以前に制作されていた楽曲でしたが、以降はデビュー後に制作されたものとなりました。

このシングルは見開きのダブル・ジャケットとしてリリースされ、レコード盤には両面に“A”と表示される両A面での発売です。収録されている両曲はそれぞれ3分51秒の演奏時間を誇ります。音楽番組では「タイム・トラベル」がメインに演奏されることが多かったものの、夜のヒットスタジオやレッツゴーヤングにおいて「ジョイ」も披露されるなど、二曲とも多くの注目を集めました。このシングルは、原田の歴史的な出場となった『第29回NHK紅白歌合戦』でも「タイム・トラベル」が初めて披露されています。

オリコンランキングでは自己最高となる4位を記録し、売り上げは約26万枚を超えました。これは原田の代表的ヒット曲「キャンディ」とほぼ同数に相当します。ただ、デビュー曲「てぃーんず ぶるーす」の売上には及びませんでした。

曲の制作に関しては、「タイム・トラベル」の歌詞は松本隆によって先に創作され、原田がその後に曲を乗せました。当初、ストーリー仕立てであり字数も多いため、原田は作曲に困惑したといいます。そんな中、長野県の温泉に浸かりながらメロディーがひらめき、スムーズに完成させることができたと語っています。当時の松本はこの作品の新たな概念について、「夢の中では時間と空間を飛びまくる。こんな設定の歌はそれまでなかった。歌のSF的な要素を試みたかった」と述べています。

シングルからは原田自身が手掛けるストリングス・アレンジも始まり、その音楽的な幅を広げるきっかけとなりました。「時間旅行のツァーはいかが?」というフレーズは、初稿では一度しか出現しなかったそうで、曲の完成度を高めるために工夫が施されました。

また、本シングルの影響は現在も続いています。2011年にはスピッツがテレビドラマ『僕とスターの99日』の主題歌として「タイム・トラベル」をカバーし、大きな話題となりました。これに続いて、2014年には鈴木雅之がカバーアルバム『DISCOVER JAPAN II』に収録し、さらに2018年には丸本莉子がアルバム『COVER SONGS』で同曲のカバーを発表しました。2023年のテレビドラマ「パリピ孔明」では、上白石萌歌が演じるヒロインが劇中で「タイム・トラベル」を歌唱し、さらにその内容を収めたアルバム『Dreamer』が同年にリリースされました。

収録曲は以下の通りです。全曲作詞は松本隆、作曲・編曲は原田真二が担当しています。

• - タイム・トラベル (3分51秒)
• - ジョイ (3分51秒)

そして、ミュージシャン陣も豪華で、原田真二はアコースティック・ピアノやシンセサイザーに加え、ホンキートンク・ピアノやマリンバなど多様な楽器を操っています。その他にも、ドラムスにはRobert Peter Brill、エレクトリックベースには関雅夫が参加し、エレクトリック・ギターとアコースティック・ギターには青山徹、パーカッションには古田たかしが携わり、トマトのストリングスや吉田拓郎のバッキング・ボーカルも特徴的です。

このように『タイム・トラベル／ジョイ』は、音楽的な革新や魅力を備えた作品であり、現在も多くのアーティストに愛され続けています。

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