タイム・リープあしたはきのう

『タイム・リープあしたはきのう』は、日本の小説家、高畑京一郎によるライトノベル作品です。メディアワークスから1995年6月に単行本として発表されました。その後、メディアワークスより電撃文庫版が1996年12月に上下巻で、さらにKADOKAWAのメディアワークス文庫より新装版が2022年10月に上下巻で再刊されています。

あらすじ

物語は、ごく一般的な高校生活を送る女子高生、鹿島翔香が体験する奇妙な出来事から始まります。ある朝目覚めた翔香は、前日の記憶がすっぽり抜け落ちていることに気づきます。不安に駆られ、自身のつけた日記を確認すると、見慣れない筆跡で、未来の自分からのメッセージと思われる文章が書き加えられていました。その内容は、「いま混乱しているだろうから、若松和彦に相談するように。彼は一見冷たい人物に思えるかもしれないが、頼りになる存在だから」というものでした。

困惑しながらも、学校内で優れた知性で知られるクラスメートの若松和彦に助けを求める翔香。和彦は翔香の話を聞き、彼女が「タイム・リープ」と呼ばれる特殊な時間移動現象に巻き込まれている可能性を見出します。原因不明のまま時間を遡ってしまう体質になってしまった翔香と、冷静沈着な和彦は、この不可解な現象の謎を解き明かすために協力し始めます。

本来はほとんど接点がなかった二人ですが、タイム・リープによって引き起こされる日々の混乱の中で、翔香のペースに巻き込まれながらも、和彦は論理的な思考で時間のパズルに立ち向かいます。共に困難に立ち向かう中で、二人の関係は少しずつ変化していきます。

主な登場人物

鹿島翔香: 本作の主人公。高校2年生。突如タイム・リープ現象に見舞われます。
若松和彦: 翔香のクラスメートで、学年でもトップクラスの秀才。クールな性格で、他者、特に異性との関わりを避ける傾向がありますが、翔香のタイム・リープの原因究明に協力します。
関鷹志: 和彦の親友で、柔道部に所属しています。父親は刑事です。
鹿島若子: 翔香の母親。
鹿島英介: 翔香の父親。
若松美幸: 和彦の妹。兄とは対照的に明るく社交的な性格です。

その他、翔香の友人や学校関係者なども登場し、物語に関わってきます。

メディアミックス

原作小説の刊行後、様々なメディア展開が行われました。

ラジオドラマ

1996年には、文化放送の番組「電撃大賞」内でラジオドラマが放送されました。後にポリグラムよりドラマCDとしてもリリースされています。主要キャストには、鹿島翔香役に久川綾、若松和彦役に緒方恵美などが配されました。

映画版

1997年6月7日には、『タイム・リープ』のタイトルで実写映画が公開されました。本作では、主人公の名前が「池内翔香」、相手役が「星野彰彦」に変更されるなど、一部設定に変更が加えられています。監督は今関あきよしが務め、大林宣彦が監修にあたりました。主演は池内翔香役を佐藤藍子、星野彰彦役を川岡大次郎が演じており、佐藤藍子はこれが映画初主演、川岡大次郎はデビュー作となりました。主題歌は声優としても知られる緒方恵美が担当しています。

原作の雰囲気を受け継ぎつつ、映画ならではのドラマチックな要素が加えられ、エンターテイメント作品として仕上げられています。

既刊情報

単行本

高畑京一郎（著）、衣谷遊（イラスト）
『タイム・リープあしたはきのう』メディアワークス、1995年6月、ISBN 4-07-303060-4

文庫版（電撃文庫）

高畑京一郎（著）、衣谷遊（イラスト）、メディアワークス〈電撃文庫〉、全2巻
『タイム・リープ<上> あしたはきのう』、1996年12月、ISBN 4-07-305580-1
『タイム・リープ<下> あしたはきのう』、1996年12月、ISBN 4-07-305596-8

文庫版（メディアワークス文庫新装版）

高畑京一郎（著）、ジワタネホ（イラスト）、KADOKAWA〈メディアワークス文庫〉、全2巻
『新装版タイム・リープ<上> あしたはきのう』、2022年10月、ISBN 978-4-04-914696-7
『新装版タイム・リープ<下> あしたはきのう』、2022年10月、ISBN 978-4-04-914697-4

タイム・リープあしたはきのう