長い灰色の線

『長い灰色の線』：ジョン・フォード監督が描くウェストポイントの物語

『長い灰色の線』（The Long Gray Line）は、1955年に公開されたアメリカ映画。ジョン・フォードが監督を務め、タイロン・パワーとモーリン・オハラが主演を務めた伝記映画です。本作は、ニューヨーク州ウェストポイントにある陸軍士官学校で体育教官として50年間を過ごした、マーティン（マーティ）・マーの自伝を基にしています。

あらすじ

物語は、マーティ・マー軍曹が辞職命令を受け、旧友である大統領に撤回を求める場面から始まります。そこから、マーティのウェストポイントでの半生が回想形式で語られていきます。

1903年、アイルランド移民のマーティは、ウェストポイントで皿洗いの職を得るも、すぐにクビになってしまいます。その後、兵士として勤務する中で、体育主任のハーマン・キーラー大尉に才能を見出され、体育助手として働くことになります。また、同じくアイルランド出身のメアリー・オドンネルと恋に落ち、結婚。

マーティは故郷に帰ることを考えていましたが、メアリーはそれを拒否。マーティの父と弟をアイルランドから呼び寄せます。面倒見の良いマーティは、成績不振に悩む候補生、レッド・サンドストロムのために家庭教師を紹介。レッドは優秀な成績で卒業し第一次世界大戦へ出征しますが、戦死してしまいます。

ウェストポイントからは、ダグラス・マッカーサー、ジョセフ・スティルウェル、オマール・ブラッドレー、ジョージ・パットン、ドワイト・D・アイゼンハワーなど、後に歴史に名を残す人物たちが巣立っていきます。マーティは彼らを見守り、支え続けました。

メアリーは穏やかな生涯を終え、一人残されたマーティの周りには、彼を慕う若い候補生たちがいました。彼らこそが、マーティの生きがいとなっていたのです。

物語の終盤、大統領の計らいにより、マーティはウェストポイントを去ることなく、士官候補生の隊列に見送られることになります。その光景は、まさに映画のタイトルである「長い灰色の線」そのものでした。

作品の背景

この映画には、アメリカンフットボールのエピソードも描かれています。陸軍士官学校がノートルダム大学の新戦術によって大敗を喫する場面は、1913年の試合を基にしています。当時、陸軍士官学校は最強チームでしたが、ノートルダム大学がパスプレーとランプレーを組み合わせた戦術で勝利し、現代アメリカンフットボールの礎を築きました。

評価

『長い灰色の線』は、Rotten Tomatoesで100%の高評価を得ており、平均点は10点満点中7.08点と評価されています。

外部リンク

長い灰色の線 - allcinema
長い灰色の線 - KINENOTE
The Long Gray Line - オールムービー（英語）
The Long Gray Line - IMDb（英語）
The Long Gray Line - TCM Movie Database（英語）
The Long Gray Line - Rotten Tomatoes（英語）

この映画は、一人の男の人生を通して、陸軍士官学校の歴史と伝統を描き出した感動的な作品です。ぜひ一度ご覧ください。

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