タクシー・サンバ

タクシー・サンバ

『タクシー・サンバ』は、1981年10月17日から10月31日までNHKの「土曜ドラマ」として放送された日本のテレビドラマです。この作品は、その優れたカメラワークが評価され、プラハ国際テレビ祭でテレビドラマ部門カメラワーク賞を受賞しました。

あらすじ

ドラマは、様々な人間関係や感情の交錯を描く3つのエピソードで構成されています。各エピソードはタクシー運転手の朝田を中心に進行し、彼が出会う人々とのドラマが展開されます。

第1話「夜の少年」

初めてのタクシー勤務を終えた朝田（緒形拳）は、遅れて事務所に帰る途中で出会った不審な少年（松田）との出来事を語ります。少年は受験や家庭から逃げるようにタクシーに乗り込んできたが、彼の父親（愛川）は心配して探し回っていました。朝田は少年を殴ってしまいますが、思いもよらず父親から感謝の言葉を受けます。この経験を通じて、朝田は自らの離婚や娘に対する負い目を思い知らされます。結局、彼は少年を再び乗せ、父親が懸命に働く姿を少年に見せるのです。

第2話「愛のかたち」

ある夜、朝田のタクシーに乗った女性（大原麗子）は、ただ「まっすぐ行って」としか言わず、浜辺に着くと自殺を図ろうとします。朝田は女性を助け、恋人との別れを勧めて金を工面します。その一方で、班長（坂上二郎）を通じて見合いをした村田（岡本）は、仕出し屋の娘（榊原）との関係に悩み、愛の宣誓をすることになってしまいます。数日後、朝田が助けた女性がタクシー会社に手紙を届けに来るシーンで締めくくられます。

第3話「路上の荒野」

個人タクシーの認可を待つ工藤（花沢）は、ある晩ひき逃げの嫌疑をかけられます。仲間が見つけた目撃者（本間）は、過去の誤認逮捕で故郷を追われていた男です。彼は妹（紺野）と再会した時、朝田が事故の証言を促します。強盗に刺されて入院中の朝田は、それでもタクシー運転手の道を貫くと宣言します。人物たちの感情の重さと人間関係の複雑さが描かれるこのエピソードは、観る者に胸を打つ感動を与えます。

キャスト

• - 朝田英一 - 緒形拳
• - 辻井順造 - 坂上二郎
• - 工藤智治 - 花沢徳衛
• - 村田幸夫 - 岡本信人
• - 三輪恭太郎 - 毒蝮三太夫
• - 吉川信夫 - 三浦洋一
• - 飯田茂 - 清水弘之
• - 宮下勇作 - 佐野浅夫
• - 大島敬次 - 辰巳柳太郎
• - 及川祐子 - 高林由紀子

スタッフ

• - 脚本 - 山田太一
• - 音楽 - オパ
• - 主題歌 - 「もいちど‥ららばい」「哀愁サンバ」
• - 演出 - 村上佑二（第1話、第3話）、音成正人（第2話）
• - 製作 - 藤田道郎

備考

本作は、1960年代に制作された「泣いてたまるか」でもタクシー運転手を主人公としたエピソードが存在しますが、本作の細かい取材と人物描写は特に秀でています。また、タクシー会社「明誠交通」の舞台は東京都北区上中里に実在する「明治交通」営業所であり、当時の姿が今でも残っています。

関連文献

• - 日本放送作家組合（編）、1982年『テレビドラマ代表作選集 1982年版』

このドラマは人間の感情のドラマを力強く描き出し、視聴者に多くの反響を呼びました。

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