辰巳柳太郎

辰巳柳太郎 - 日本の俳優

辰巳柳太郎（たつみ りゅうたろう）は、1905年に生まれ、1989年に他界した日本の著名な俳優です。兵庫県赤穂郡坂越村（現在の赤穂市）出身で、本名は新倉武一です。彼の俳優生活は、新国劇の重要な柱としてだけではなく、映画界でも特筆すべき業績を残しました。

1. 来歴・生涯

辰巳は少年期に養子に出された後、関西のさまざまな家を転々としながら学業を続けました。関西甲種商業学校を経て、大阪市立天王寺商業高等学校を中退した後、1919年に小林一三が設立した「男子養成会」の第一期生として宝塚に入ります。彼は1926年に旅回りの一座で初舞台を果たし、その半年後には「宝塚国民座」に入団し、「東伍作」として舞台に立ちました。

1927年、辰巳は澤田正二郎と出会い、彼の弟子となることを直談判しました。新国劇に入団し、辰巳柳太郎と改名。彼は「動の辰巳、静の島田」と称されるように、その表現力で新国劇に多大な影響を与えました。辰巳はその後、昭和の代表的な悪役や主人公を演じる俳優として成長し、数々の名作に出演しました。

2. 代表作

特に代表的な作品には、1947年に主演した『王将』があり、これは大ヒットを記録しました。また、国定忠治や宮本武蔵の役でも知られ、観客の記憶に強い印象を残しました。1954年には映画界に進出し、数多くの映画作品に出演しました。特に、1950年代から1970年代にかけての日活映画での活動は非常に活発でした。

3. 晩年と死去

晩年には体調を崩し、1988年からは寝たきりの生活を余儀なくされました。1989年2月には肺炎を発症し入院。再入院後、同年7月29日に心不全のため84年の生涯を閉じました。彼の墓は冨士霊園にあります。

4. エピソード

辰巳は俳優仲間とのエピソードでも知られています。特に、1974年に津川雅彦とゴルフの約束をしていた際に、津川が約束を破ったことがあり、辰巳は激怒しました。しかし、その後、津川の家族に起きた誘拐事件を知り、辰巳は謝罪するために土下座して謝るという、深い友情を象徴する一幕がありました。

5. 影響と後世への伝承

彼は多くの弟子を育て、大友柳太朗や緒形拳などを含む次世代の俳優たちに多大な影響を与えました。また、彼の長女はジャズ歌手で女優の新倉美子としても知られています。辰巳柳太郎の存在は日本のエンターテイメント界において、今もなお語り継がれています。

6. 受賞歴

辰巳はその才能と業績が評価され、1969年に紫綬褒章、1976年には勲四等旭日小綬章を受章しています。彼の演技と貢献は、後の世代に大きな影響を与え続けることでしょう。

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