タコノキ

タコノキ（蛸の木・露兜樹）

タコノキ（学名: Pandanus boninensis）は、タコノキ科に属する常緑の小高木であり、小笠原諸島だけに自生する固有種です。この植物は日当たりの良い乾燥地を好み、特に海岸近くで見られます。タコノキの名前は、多数の支柱根が放射状に広がる様子がタコに似ていることからつけられたというユニークな由来があります。英語ではBonin Islandsからその名がきている種名「boninensis」が付けられています。

特徴

タコノキは高さが3メートルから12メートルほどに成長します。この種はタコノキ科の基準種と見なされており、特徴として幹を取り巻く気根が支柱のようになっているのが観察できます。タコノキの樹皮は淡褐色で、アダンと似た横縞の落葉痕があります。支柱根は滑らかで、所々に小さな突起が散らばっているため、見た目にも特徴的です。

葉の形は細長く、長さは1メートルから2メートルに達します。先端が尖り、葉縁には鋭いトゲのような鋸歯が並んでいることで知られています。これらのトゲは特にアダンと比べると細かく、触れると非常に鋭い感触があります。

花は初夏の7月に咲き、雌雄異株であるため、白色の雄花と淡緑色の雌花をつけます。夏には数十個の果実が集まったパイナップル状の集合果が形成され、直径約20センチメートルまで大きくなります。これらの果実は秋にオレンジ色に成熟し、特にオガサワラオオコウモリが好んで食べるとされています。また、熟した果実は茹でて食用としたり、食用油の原料としても利用されます。

タコノキは小笠原諸島に特有の植物であるものの、その美しい葉は観葉植物としても人気が高く、八丈島などの他の地域にも移植されて定着しています。タコノキとよく似た植物であるアダンが南西諸島に多く生息していますが、アダンとタコノキの違いは、アダンの葉の鋸歯が小さいことから見分けることが可能です。

まとめ

これらの特徴からタコノキは生態系において重要な役割を果たす植物であり、小笠原諸島の魅力を体現する存在です。どこでも見られる植物ではないため、訪れる際は注意深く観察して、その美しさやユニークさを楽しんでみてください。

もう一度検索