タサダイ族

タサダイ族

タサダイ族は、フィリピン・ミンダナオ島で20世紀に発見されたとされる原始民族です。その実在性には疑念が持たれており、さまざまなメディアで「世界10大詐欺事件」の一つに挙げられることもあります。

歴史の始まり

タサダイ族は1960年代後半に地元のハンターデファルによって発見されたとされています。彼はこの発見をマヌエル・エリザルデ Jr.当時の環境大臣に報告し、政府が調査団を派遣するきっかけとなりました。調査団の活動によって、タサダイ族の存在は確認されたと言われています。その後、アメリカのCBSやイギリスのBBCなどの主要報道機関が報じたことにより、タサダイ族は国際的な注目を集めました。

1974年には、フェルディナンド・マルコス大統領の命令でタサダイ族の居住地域への立ち入りが禁止され、政府は彼らの保護を決定しました。この政策はチャールズ・リンドバーグやジョン・ロックフェラー4世など、多くの著名な支持者を得て、タサダイ族のために多額の寄付金が集まりました。その結果、約190平方キロメートルの保護区が設定されました。

1986年、マルコス政権が崩壊した後、ジャーナリストのオズワルド・イテンとジョーイ・ロザノが保護地区に潜入しました。彼らは、報道されていたタサダイ族とは異なり、現代的な文化を持つ集団の実態をスクープし、その結果タサダイ族の存在が詐欺であるとの主張が広まりました。

1987年にはフィリピン政府がタサダイ族の存在を再確認し、調査団を結成して調査を行いました。しかし、タサダイ族の存在の真偽については、その後も論争が続いています。

民族的特徴

初期の報道によれば、タサダイ族は狩猟採集を主な生業とし、27人（6家族）で構成されているとされていました。彼らはマノボ諸語を話すマノボ族の下に分類され、フィリピン南コタバト州の熱帯雨林に住んでいます。また、タサダイ語を使ってコミュニケーションを取っているとされます。

興味深いことに、タサダイ語には「武器」や「敵」という争いを表す単語が存在しないため、彼らは「愛の民族」と称されることがありました。1986年の生活状況としては、洞窟ではなく一般的な家屋に住み、Tシャツやジーンズを着用し、紙巻きタバコを吸うなど、現代的な生活様式を持っていました。また、バギーやオートバイを使用している様子も報告されています。

関連人物

タサダイ族の発見に関与した主な人物には、フィリピンの環境大臣として活躍したエリザルデ、当時の大統領マルコス、存在を否定した人類学者トーマス・ヘッドランドなどがいます。また、詐欺事件をスクープしたスイスのジャーナリストオズワルド・イテンや、タサダイ族の保護団体を設立したフォトジャーナリストのジョン・ナンスも重要な人物です。彼らの活動は、タサダイ族の存在を巡る論争の中心にあります。

結論

タサダイ族の存在は今なお議論が続いており、彼らの文化や生活様式、さらにはその真偽に対する理解は、フィリピンの歴史や文化を考える上で欠かせないテーマとなっています。

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