タジキスタン内戦

タジキスタン内戦の概要

タジキスタン内戦（1992年〜1997年）は、1991年に独立したタジキスタンで発生した内戦であり、さまざまな政治的、民族的対立が引き起こした激しい闘争でした。この内戦は、特にゴルノ・バダフシャン自治州やガルム地方のイスラム勢力や民主勢力と、タジキスタン共産党の権力を維持するエモマリ・ラフモンらの政府側との間で繰り広げられました。

内戦の発端

1992年の春頃、大統領選挙の結果、ナビエフ大統領が誕生したものの、彼に対する抗議行動が街頭で展開され、その抗議は反政府勢力による武装蜂起に発展しました。反政府勢力にはイスラム勢力や民主化を求める勢力が含まれており、政府側にも長年優遇されてきた地域の人々が参加しました。この緊張は数度の武力衝突を経て、ナビエフ大統領が辞任に追い込まれるまで高まりました。

戦争の展開

内戦が激化する中で、政府側はロシアとウズベキスタンからの軍事支援を受けながら反政府勢力に対抗しました。クリャーブ派とホジェンド派が主に戦う中で、慢性的な戦闘と情勢の変化が続きました。1993年には、クリャーブ派の民兵組織が反政府勢力との戦闘を繰り広げ、多くの民間人が犠牲となる事件が発生しました。

特にドゥシャンベ南部では、パミール人やガルム人に対する民族浄化が行われ、多くの人が虐殺され、生き残った人々はアフガニスタンへの難民となりました。アフガニスタン内では、反政府勢力が体制を建て直し、タジク野党連合（UTO）を結成しました。これに対抗する形で1994年には国際連合タジキスタン監視団（UNMOT）が派遣され、状況の安定を図ります。

1996年以降の展開

1996年からは反政府軍の攻撃がドゥシャンベに駐留するロシア軍部隊に向けられ、内戦は拡大しました。ロシア軍に対する反乱は、高まる民族対立や宗教的な対立を背景に続きました。国際的な支援を求め、国連の仲介による停戦協議が進められました。

和平とその後

1997年にルシコビで行われた和平協定では、エモマリ・ラフモンとUTOの指導者であるサイイド・アブドゥッラー・ヌーリーが合意に達し、内戦は終息を迎えました。しかし、この内戦による影響は計り知れず、推定5万から10万人が命を落とし、120万人が難民となりました。

人々の生活は焦土化し、国際的な支援が求められる状況が続きました。また、内戦への報道や監視活動を行うジャーナリストたちも多くが危険にさらされ、数十人が命を落としました。内戦を通じて、タジキスタンは多くの優秀な人材を失い、その後の発展に大きな影響を及ぼしました。

タジキスタン内戦は、政治的な権力と民族の対立が暴力を引き起こし、国家に深い傷跡を残した歴史の一コマとして記憶されています。

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