タスクトレイ

タスクトレイ（またはシステムトレイ）は、グラフィカルユーザーインターフェース（GUI）における重要な機能の一つです。これは、画面上の特定の領域に小さなアイコンを表示することで、起動中のアプリケーションの状態を一覧できるようにするものです。

Microsoft Windows におけるタスクトレイ

Windows環境では、デフォルトで画面右下、タスクバーの右端に位置しています。スタートアップ時に自動起動するアプリケーションだけでなく、ユーザーが後から起動したアプリケーションのアイコンも表示されます。一部のソフトウェアは最小化時にタスクトレイに格納されたり、タスクトレイから直接起動したりします。また、通常タスクトレイに格納できないソフトウェアを強制的に格納するツールも存在します。

Windowsでは、この領域は正式には「通知領域」と呼ばれます。Windows XPのヘルプでは「通知領域」という呼称のみが用いられていますが、マイクロソフトのナレッジベースでは「タスクトレイ」や「システムトレイ」といった呼称も使われています。Windows 2000では「インジケータ領域」という名称が使われていました。

多数のアプリケーションがインストールされた環境では、タスクトレイに表示されるアイコンが過多になりがちです。Windows XP以降では、アイコンごとに「常に表示」「一定時間操作しない場合に隠す」「常に非表示」を選択できるようになり、整理が容易になりました。隠されたアイコンは、タスクトレイ左端のボタンをクリックすると一時的に表示されます。

Windows 7では、タスクトレイのアイコンは基本的に非表示扱いとなりました。ユーザーが許可したアイコンのみが表示され、それ以外のアイコンはボタンをクリックするとポップアップで一覧表示されます。使用頻度に応じて表示/非表示を切り替える機能は、ベータ版時点ではありませんでした。

Windows 2000以前では、タスクバー内でタスクトレイのみが凹んだデザインでしたが、Windows XPのLunaビジュアルスタイルでは異なる色で表示されました。Windows Vista以降では、デザイン上の差はなくなりました。なお、XPから7までは設定により2000以前のようなクラシック表示も可能でしたが、Windows 8以降ではこの設定はできなくなりました。

X Window System におけるタスクトレイ

LinuxなどのUnix系システムでは、GNOMEやKDEといったデスクトップ環境でタスクトレイが利用できます。GNOMEでは画面上のパネルに、KDEでは画面下のタスクバーに表示されるのが一般的です。GNOMEとKDEでは、タスクトレイを非表示にすることも可能です。

freedesktop.orgには、タスクトレイに関するプロトコル仕様が存在し、この仕様ではKDEに倣い「システムトレイ」と呼んでいます。Xlibからシステムトレイを利用する場合、XEvent構造体に含まれるXClientMessageEvent構造体にシステムトレイに関するデータなどを設定し、XSendEvent関数を呼び出すことでシステムトレイのウィンドウにメッセージが送られます。

また、Xlibを直接使用しなくても、GTK、KDELibs、Qtなどのウィジェットツールキットが提供する関数やクラスを利用することで、システムトレイを扱うことができます。GNOMEで使われるGTKでは`GtkStatusIcon`オブジェクトが、KDEではKDELibsバージョン3では`KSystemTray`クラス、バージョン4では`KSystemTrayIcon`クラスが使用されます。

KDEでは、バージョン3まで独自のプロトコルが使われていましたが、`KSystemTrayIcon`クラスが継承するX11版Qtの`QSystemTrayIcon`クラスや、GTKの`GtkStatusIcon`オブジェクトではfreedesktop.orgのプロトコル仕様に従って実装されています。2009年には、これらのプロトコルよりも柔軟性の高い新しいプロトコルが開発され、KDE 4.3で導入されました。この新しいプロトコルはD-Busを活用しています。


タスクトレイは、アプリケーションの動作状況を視覚的に把握し、効率的なPC操作をサポートする重要な要素です。

関連項目

タスクバー
スタートボタン

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