タスマン氷河

タスマン氷河について

タスマン氷河は、ニュージーランド南島に位置する、同国最長の氷河です。サザンアルプス山脈からマッケンジー盆地へと南東方向に流れ、その全長は約27km、幅は約4kmにも及びます。氷河全体がアオラキ/マウント・クック国立公園内に位置し、その雄大な景観は多くの人々を魅了しています。

地勢

氷河は、標高約3,000m地点から始まり、最大深度は600mに達します。総面積は約101平方キロメートルに及び、冬から春にかけての降雪は最大50mにもなりますが、夏の融解後も約7mの雪が残ります。タスマン山（3,497m）とクック山（3,754m）という二つの高峰の東側斜面に沿って南へと流れており、氷河の上流部は雪で覆われていますが、氷河の移動に伴い運ばれた岩石が、氷河の侵食（アブレーション）により露出しています。

また、タスマン氷河は、マーチソン氷河の融解水が合流する地点に位置しています。マーチソン氷河の融解水は、モレーン（堆積物）の外側を通ってタスマン氷河へと流れ込み、最終的にはタスマン氷河の先端に位置するタスマン湖に流れ込みます。

タスマン湖から流れ出た水は、南へと流れて、フッカー氷河やミューラー氷河からの水と合流し、タスマン川の広い谷を形成します。その後、プカキ湖へと流れ込み、ワイタキ川を経て、最終的にはオマルーの北で太平洋へと注ぎます。

近年の後退

サザンアルプス山脈に位置するミューラー氷河、フッカー氷河、そしてタスマン氷河は、1990年から2000年頃にかけて著しい後退が見られました。特に、氷河末端部の湖の拡大、モレーンに覆われていない白い氷の露出、氷の厚さが減少したことによるモレーンの壁の高さの増加などが確認されています。

これらの変化は、地球温暖化の影響を如実に示しており、氷河の後退は景観の変化だけでなく、周辺地域の水資源にも影響を与える可能性があります。

関連項目

氷河の一覧
氷河融解

参考文献

* Satellite Image Atlas of Glaciers of the World, Glaciers of New Zealand, Chinn, T.H., USGS Professional Paper 1386, 1988.

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