タテガミオオカミ

タテガミオオカミの概要

タテガミオオカミ（学名：Chrysocyon brachyurus）は、イヌ科に属する肉食性の哺乳類であり、タテガミオオカミ属の唯一の種です。主に南アメリカのアルゼンチン北部、パラグアイ、ブラジルの中部および東部、ボリビア東部に生息していますが、現在は絶滅危惧種となっています。

形態的特徴

タテガミオオカミは、頭胴長が122.5から132センチメートル、尾の長さは27.5から45センチメートル、肩高は72から90センチメートルまで成長します。体重は通常20から23キログラムです。この種は南アメリカで最も大きなイヌ科の動物で、特に頚部の後ろには特徴的な鬣のような毛が生えています。

毛色は背面が赤褐色で、吻部や四肢は黒く、耳の内側や喉部、尾の先端は白色です。また、耳は大きく、特徴的な形状を持っています。生後70日を過ぎると、幼獣は淡赤褐色の毛色に変化します。

生態と行動

タテガミオオカミは主に草原、低木林、開けた森林、湿地などに生息し、夜行性または薄明薄暮性の行動パターンを持ちます。平均して27平方キロメートルの行動圏を持ち、ペアで行動することが多く、彼らは糞や尿によって縄張りを確認します。これまでの研究では、単独行動とペアでの生活が観察され、狩りの際には仲間を呼び寄せることもあります。

移動する際には同じ側の四肢を同時に動かす「側対歩」を取る習性がありますが、天敵にはジャガーやピューマが存在します。

食性

食性は雑食で、小型哺乳類、鳥、爬虫類、果物などを食べます。具体的な調査では、動物質が53.3%を占め、植物質も46.7%含まれていることが示されています。特に、ウルフアップルの果実は、内部寄生虫に効果があると考えられています。タテガミオオカミは獲物を跳躍して捕らえる能力に優れていますが、過去には大型動物を捕食した事例もあります。

繁殖

繁殖期は8月から10月であり、妊娠期間は約62から66日、1回に2から5頭の幼獣を出産します。授乳期間はおよそ15週間です。幼獣も早い段階で開眼し、生後1年で性成熟に達しますが、実際の交尾は生後2年後から行われることが一般的です。

人間との関係

タテガミオオカミは、地域の民話では特別な存在とされ、体の部位が薬用に使われることもありますが、同時に家畜への襲撃があるため、害獣とみなされています。近年は、開発や狩猟によってその数が急激に減少しており、ウルグアイでは1990年以降、その姿を見ることはなくなったとされています。

現在、タテガミオオカミはワシントン条約の附属書IIに掲載されており、日本でも特定動物に指定されています。生息数の減少が続く中で、保護活動が求められています。この美しい生き物とその生息地を守るために、私たちの理解が深化することが必要です。

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