タナカワークス

タナカワークス：日本の遊戯銃メーカーの歴史と技術革新

タナカワークスは、日本の遊戯銃業界において独特の存在感を放つメーカーです。他社製のモデルガン部品の製造から事業を始め、東京CMC社の廃業を機に本格的なトイガン製造販売へ進出しました。リアルな構造と外観を再現することに定評があり、他社が手を出さない独自のモデルや機構を積極的に開発することで知られています。

初期から革新的な技術への挑戦

同社は、エアソフトガンの黎明期にブローバックガスガンを初めて実現したメーカーとして知られています。当初はアフターシュート方式のブローバックシステムが主流でしたが、その後ウエスタンアームズとの協業によりマグナブローバックシステムへと移行しました。近年では、独自のペガサスシステムを搭載したリボルバーやボルトアクションライフルが主力製品となっています。

創業当初は、実銃・モデルガン用の木製ストックを製造する田中木工として活動していました。この経験から、木製グリップを採用した製品や木製部品を多用した製品が多いのが特徴です。六研の六人部登氏との深い関係性も有名で、多くの製品試作を依頼していました。ペガサスシステムやガス式ボルトアクションライフル、カシオペアシステムなども六人部氏の試作に基づいています。

多様な製品ラインナップ

タナカワークスは、モデルガン、ガスリボルバー、ブローバックガスガンなど、幅広い製品を展開しています。

モデルガン

ハンドガンでは、グロック17、SIG SAUER P220/226、H&K USPなどを、リボルバーではS&W Kフレーム、Nフレーム、コルトIフレーム、Dフレームなどをモデルアップしています。長物では、九九式短小銃を始めとした旧日本軍の銃器や、CMCから金型を引き継いだM1カービン、モーゼル98Kなども製造しています。初期のモデルガンは耐久性に課題がありましたが、材質や設計の見直しにより改善されています。

ガスリボルバー

ペガサスシステムの成功により、リボルバー型ガスガンの開発を積極的に行い、COLT、スミス＆ウェッソン、スタームルガーなど、数多くのモデルを発売しています。特にスミス＆ウェッソンの商標使用権を取得しており、実銃に迫るリアルな再現性で高い評価を得ています。ペガサスシステムは、カート式に比べ装弾数が2倍以上で、連発時の初速安定性にも優れています。

ブローバックガスガン

ブローバックガスガンを初めて実現したメーカーとして、グロック17、SIG SAUER P220/226、H&K USPに加え、モデルガンラインナップにはないブローニングハイパワーやルガーP08なども製造しています。初期のモデルはガス漏れしやすい傾向がありましたが、RタイプマガジンやVタイプマガジンの採用により改善されています。

カシオペアシステム事件

2008年、タナカワークスは独自の機構であるカシオペアシステムを搭載したガスリボルバーを発売しました。しかし、この製品は警察により「実銃」と認定され、社長逮捕、製品回収という事態に発展しました。カシオペアシステムはペガサスシステムの発展型で、カートリッジ内にガスタンクと放出バルブを内蔵した機構でしたが、発射機構の特殊性と、実弾発射の可能性を懸念されたASGKの未認可状態での販売が問題視されました。科学捜査研究所による実験で、特殊な実弾を使用すれば発射可能であることが確認され、銃刀法違反容疑で捜査が行われました。タナカワークス側は、製品の殺傷能力を否定し、業界団体への未申請を問題視する声も挙がりましたが、社長は逮捕され、後に釈放されました。この事件は、遊戯銃業界に大きな衝撃を与え、製品の安全基準や業界団体との関係の見直しを促す契機となりました。

まとめ

タナカワークスは、日本の遊戯銃業界において常に革新的な技術と製品を提供してきたメーカーです。独自の機構やモデルを開発する一方、カシオペアシステム事件に見られるように、安全基準や法規制との兼ね合いが課題となっています。同社の歴史と技術革新は、日本の遊戯銃業界の発展に大きな影響を与え続けています。

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