タピール級揚陸艦

1171号計画型揚陸艦（タピール級）

1171号計画型揚陸艦、またの名をタピール級艦（NATOコードネーム：アリゲーター）は、ソビエト連邦及びロシアにおいて開発された揚陸艦のクラスで、主に海兵隊や軍用車両の輸送を目的としています。この艦級は、当時の新しい戦術に対応するために設計され、当初は大型揚陸艦として分類されました。

開発の背景

第二次世界大戦後、ソビエト連邦は水陸両用作戦に関する重要な分析を行い、その結果、専用の揚陸艦の必要性が認識されました。1962年に就役した最初の中型揚陸艦ポルノクニー級では、800トンの排水量で6台の戦車と180人の兵員を輸送できる能力を備えていました。
その後、1950年代後半になると、1171号計画型、通称タピール級が導入され、真の戦車揚陸艦として設計されました。排水量は4,360トンにも達し、最大313人の兵員と20台の戦車を搭載可能で、加えて追加の車両を上甲板に装備できるのが特徴です。

NATOはこの艦級に「アリゲーター」というコードネームを与え、さらにいくつかの派生型も存在しました。設計は1959年に進められましたが、同時期に必要とされた二重目的艦1173計画型が別途命令され、最終的には両者が統合されることで、互いの利点を取り入れた設計が完成しました。この構成の中で、海軍はより高性能で速力の高いオプションを選定したため、燃料効率は犠牲になる結果となりました。

竣工と運用

1964年から1975年にかけて、合計14隻の1171号計画型揚陸艦が建造されました。その後、これらはソ連による海上作戦において重要な役割を果たすことになりました。たとえば、「サラトフ」（BDK-65）は1964年に進水し、1966年に就役。その後も多くの任務を遂行し、2008年には南オセチア紛争にも参加しました。さらに、シリア内戦においても重要な軍事装備の輸送に従事しました。

「オルスク」（BDK-69）は1968年に進水し、ユーゴスラビアやアブハジアへの物資輸送に関与したり、シリアへの装備輸送任務も行いました。

近年の運命

しかし、2022年に発生したウクライナ侵攻の際、「サラトフ」はベルジャーンシクの港での攻撃を受けて破壊され、その後の報道によると、修理が試みられましたが、最後には廃艦となってしまいました。また、「オルスク」も活動から外れ、修理中との報告があります。

このように1171号計画型揚陸艦は、ソビエト及びロシアの海軍において長い歴史を持ち、いくつもの重要な作戦に参加している一方で、近年の情勢変化によってその運命は大きく左右されることになりました。今後もこの艦級は歴史的な役割を持つ存在として記憶されることでしょう。

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