タボル山

タボル山：歴史と信仰が息づく聖なる山

タボル山は、イスラエル北部地区に位置する標高575mの山であり、ヘブライ語で「Har Tavor」、アラビア語では「ジェベル・エト・トゥール」と呼ばれています。その独特な形状と聖書の記述から、古来より重要な場所として認識されてきました。

概要

ヘルモン[[山]]やカルメル山と並び、イスラエルで非常に有名な山の一つです。独立峰に近い形状をしており、多くの方角からは伏せたおわんのように見えますが、山体は東西にやや長いのが特徴です。麓のエズレル平野からの比高は約400mあり、その存在感は際立っています。山体の西側には、つづら折りの車道が山頂まで続いています。

歴史

タボル山は、聖書の時代から様々な出来事の舞台となってきました。

士師記の時代： バラクと女預言者デボラが率いる北6部族の連合軍がタボル山に集結し、シセラの軍隊を迎え撃ち、大勝利を収めました（士師記4-5章）。
預言者ホセアの時代： 預言者ホセアは、タボル山が偶像礼拝の場になってしまったことを嘆きました（ホセア書5:1）。
ハスモン朝時代： 前218年には、タボル山頂の町が占領され要害となりました。前105年には、ナンナエウスの指揮するユダヤ人がタボル山を占領し、防備を固めましたが、前70年にローマ軍によって陥落しました。
キリスト教の伝承： 2世紀頃には、イエス・キリストの「山上の変容」が起こった山であるという伝説が生まれました。この伝説に基づき、326年にローマ皇帝コンスタンティヌスの母ヘレナが聖堂を建設し、その後も教会堂や修道院が建設されましたが、イスラム教徒の支配下で破壊されました。
近現代： 19世紀に教会堂と修道院が再建され、現在に至っています。

山容

タボル山の山頂からは、周囲の平野を一望できる素晴らしい眺望が広がります。山頂には、カトリック教会とギリシャ正教会の教会が隣接して建っており、それぞれ独自の歴史と美しい装飾を持っています。これらの教会は、多くの巡礼者や観光客が訪れる場所となっています。

参考文献

『新聖書辞典』いのちのことば社、1985年

関連項目

* タボル山の戦い（麓で行われた） - 18世紀、フランス対オスマン帝国

タボル山は、その美しい景観と豊かな歴史、そして信仰の深さから、訪れる人々に感動と安らぎを与える特別な場所です。

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