タマネギ中毒

タマネギ中毒：犬猫などの動物におけるネギ属植物の危険性

タマネギ中毒は、犬や猫、牛などの動物がネギ属の植物（タマネギ、ネギ、ニンニク、ニラなど）を摂取することで起こる食中毒です。ネギ属植物に含まれる有機チオ硫酸化合物が、動物の赤血球中のヘモグロビンを酸化させ、溶血性貧血を引き起こします。このため、摂取した動物は貧血、黄疸、粘膜の蒼白、ヘモグロビン尿などの症状を示します。症状の発現には1日から数日かかる場合があり、慢性症状としては肝機能の低下も見られます。

原因物質と発症メカニズム

タマネギ中毒の原因は、ネギ属植物に含まれる有機チオ硫酸化合物です。これらの化合物は、赤血球のヘモグロビンを酸化し、機能不全に陥らせます。その結果、赤血球が破壊され、溶血性貧血が生じます。血液検査では、特徴的なハインツ小体が認められます。加熱調理しても、これらの毒素は失われません。

症状の重症度は、摂取量や動物の体重、種、個体差によって大きく異なります。同じ量を摂取しても、ある動物では軽微な症状にとどまる一方、別の動物では死亡するケースもあります。特に、赤血球内のカリウム濃度が低い動物は、タマネギ中毒による溶血性貧血で死亡する危険性が高いことが指摘されています。例えば、イヌの場合、赤血球内のカリウム濃度が高く保たれるHK型赤血球を持つ個体は、溶血性貧血により赤血球内のカリウムが血液中に流出し、高カリウム血症による死亡リスクが高まります。

また、ヒツジのタマネギ中毒に関する研究では、第一胃内の嫌気性細菌が中毒の発症に関与している可能性が示唆されています。これは、動物の種類によって、中毒の発症メカニズムが異なる可能性を示唆しています。

症状と治療法

タマネギ中毒の症状は、貧血、黄疸、粘膜の蒼白、ヘモグロビン尿などが挙げられます。初期症状は摂取後1日から数日で現れ、慢性症状として肝機能の低下が起こることもあります。

治療法としては、まず、摂取したネギ属植物を吐き出させる処置が重要です。その後、ビタミン剤の投与や、強心剤、利尿剤などの対症療法が行われます。重症の場合は輸血が必要となることもあります。残念ながら、現在、タマネギ中毒に対する特効薬や解毒剤は存在しません。

予防策

タマネギ中毒を予防するには、動物にネギ属の植物を絶対に与えないことが重要です。ネギ属植物は、生で与えるだけでなく、加熱調理されたものや、加工食品に含まれている場合も中毒を引き起こす可能性があります。動物は、ネギ属植物を忌避しないため、飼い主が十分に注意し、誤って摂取させないようにする必要があります。

まとめ

タマネギ中毒は、動物にとって重篤な食中毒を引き起こす可能性のある危険なものです。ネギ属植物の摂取は厳禁であり、万が一、動物がネギ属植物を摂取した場合は、速やかに獣医師に相談することが重要です。本稿で紹介した情報を参考に、動物の健康を守りましょう。

もう一度検索