タランテラ (企業)

Tarantella とは

Tarantellaは、1990年代から2000年代にかけて、Santa Cruz Operation（SCO）が開発・販売していたソフトウェア製品シリーズの名称です。当初はクライアント統合ソリューションとして登場し、後にサン・マイクロシステムズに買収され、現在ではSun Secure Global Desktopとして知られています。本稿では、Tarantellaの誕生から買収、そしてその後の展開について詳しく解説します。

製品としてのTarantella

誕生の背景

1993年、SCOはイギリスのソフトウェア企業IXI Limitedを買収し、さらに1994年にはVisionwareを買収しました。これらの企業が持つ技術を統合し、1995年にSCOのクライアント統合部門が設立されました。この部門は、Microsoft WindowsとUNIXの統合に特化したソフトウェア開発を行い、SCO本体とは独立した動きを見せることもありました。

Vision97 ファミリ

1997年、クライアント統合部門はVision97製品ファミリをリリースしました。これには、PC XサーバのXVision Eclipse、UNIX用CIFSサーバのVisionFS、Windows向け端末エミュレータのTermVisionなどが含まれていました。これらの製品は、異なるプラットフォーム間での連携を可能にし、企業のITインフラを効率化することに貢献しました。

Tarantella プロジェクトの始動

Vision97の開発と並行して、1996年には「Tarantella」というコードネームの新製品開発プロジェクトが開始されました。このプロジェクトの目標は、「any application, any client, anywhere（どんなアプリケーションでも、すべてのクライアントから、どこでも）」というものでした。Java対応のウェブブラウザを搭載した任意のクライアント機器から、バックエンドサーバ上で実行されるあらゆる種類のアプリケーションへのアクセスを提供するという、当時としては画期的なコンセプトでした。

製品のリリースと進化

Tarantellaは1997年11月に最初のリリースを迎えました。その後、リビジョンアップを重ねるごとに、サポートするアプリケーションの種類やクライアントの種類を拡大し、スケーラビリティとセキュリティを強化していきました。1999年にはTarantella Enterprise IIに改称され、機能限定版のTarantella ExpressがLinux向けにリリースされました。

SCO から Tarantella, Inc. へ

2001年、SCOはUNIX事業を売却し、残った製品名を社名としてTarantella, Inc.に社名変更しました。これは、Tarantellaブランドが同社の中核事業となったことを示しています。しかし、売上は伸び悩んだため、人員整理が行われました。

企業としてのタランテラ

経営の苦境と再編

2003年、同社はNASDAQのSmallCap市場での上場基準を満たせなくなり、株式併合を余儀なくされました。同時期に、Canaveral iQを開発しているNew Moonを買収し、Microsoft Windows向けの端末サービスアプリケーション市場にも参入しました。しかし、財政問題は解決せず、経営陣の交代や資金調達が相次ぎました。

サン・マイクロシステムズによる買収

2005年5月、サン・マイクロシステムズはタランテラを2500万ドルで買収する提案を発表しました。そして同年7月13日、買収が完了し、タランテラはサンの一部門となりました。

その後の展開

サンによる買収後、Tarantellaの製品はSecure Global Desktopという名称で販売されるようになりました。一部の製品はProPalmsに売却され、新たなバージョンがリリースされるなど、Tarantellaの技術は形を変えながらも生き続けています。

まとめ

Tarantellaは、クライアント統合ソリューションの先駆けとして、IT業界に大きな影響を与えました。その技術は、サン・マイクロシステムズによる買収後もSecure Global Desktopとして引き継がれ、現代のウェブデスクトップ環境の基盤となっています。

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