タン (フランス)

タン（Thann）は、フランスのグラン・テスト地域圏、オー＝ラン県に位置するコミューンです。アルザス地方の南部に位置し、ヴォージュ山脈の麓に広がっています。コミューン内にはテュール川が流れ、美しい景観を形成しています。周辺のコミューンと合わせて約3万人の都市圏を形成しており、小郡庁所在地としても機能しています。

由来

タンの名前は、ドイツ語でモミを意味する「タンネ（Tanne）」に由来しています。この地がモミの木と深い関わりがあることを示しており、タンの紋章にもモミの意匠が用いられています。

地理

オー＝ラン県の南部に位置し、ヴォージュ山脈の麓という自然豊かな場所にあります。テュール川がコミューン内を流れ、周辺の景観を彩っています。

交通

タンは交通の要所でもあり、以下の交通手段が利用可能です。

道路: A35、A36などの主要道路が整備されています。
鉄道: TERアルザスが運行しており、ミュルーズ＝セルネ＝タン＝クリュト区間を結んでいます。タン駅が利用可能です。
トラム: 2010年12月からは、ミュルーズ・トラムと接続するトラム・ミュルーズ＝ヴァレ・ド・ラ・テュールが開業しています。

歴史

タンの歴史は1290年に初めてその名が現れることから始まります。1360年代にはハプスブルク家領の一部となり、都市特権を授与されました。三十年戦争では、スウェーデン軍がフランスを支持して侵攻し、征服した土地をフランス王に献上しました。その後、ヴェストファーレン条約によりタンを含むスンドゴー地方はフランス領となりました。1659年には、ルイ14世によってタンは宰相ジュール・マザランに与えられ、タン・エ・ローズモン伯爵位が与えられました。この称号は現在、モナコ大公が所持しています。

19世紀から1960年代にかけては、タンはテキスタイル産業で栄えました。その後、染色作業に不可欠な化学工業が発展しました。産業の発展に伴い、国内でも早く1839年にはミュルーズとの間に鉄道が敷設されました。1870年の普仏戦争でフランスが敗れると、タンを含むアルザスはドイツ帝国領となりました。フランス国籍を望んだ一部の住民はタンを離れました。第一次世界大戦中の1914年にはフランスに再占領され、4年間「自由アルザス」の首都となりました。この間、深刻な被害を受けることはありませんでした。

現在、タンではサービス業と観光業が主な産業となっていますが、ワイン作りも盛んです。タン及びヴュー＝タンで作られるワインは、アルザス・グラン・クリュ・ランゲンとしてAOCに指定されています。

史跡

タンには歴史的な建造物も残っています。

サン・ティエボー・ド・タン参事会教会: アルザスを代表するゴシック建築の一つです。

姉妹都市

タンは以下の都市と姉妹都市提携を結んでいます。

グッビオ（イタリア）
トナン (ロット＝エ＝ガロンヌ県)（フランス）
* バフィア（カメルーン）

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