タンガニーカ落花生計画

タンガニーカ落花生計画

タンガニーカ落花生計画（Tanganyika Groundnut Scheme）は、1940年代後半に提案された大型農業プロジェクトで、イギリスのタンガニーカでの落花生生産を目指しました。この計画は、当時のイギリス労働党政権によって推進されたものでしたが、結果的には大きな失敗に終わります。

計画の始動

1946年、ユニリーバの子会社である連合アフリカ会社の社長であったフランク・サミュエルは、戦後の経済的困難を背景に、タンガニーカでの植物油生産を増やすために落花生の大規模栽培を構想しました。食用油が配給制となる中、サミュエルはこの計画を実現するためにイギリス政府への働きかけを行い、計画の実施に向けた調査団が派遣されることが決定しました。

1946年4月、調査団はタンガニーカの土壌や水源を研究し、その結果、楽観的な見通しを示しました。地元の農法が原因で不毛に見える土地であったが、ヨーロッパの農法を導入すれば解決できると信じられ、政府は15万エーカーの開墾に2500万ポンドの予算を計上しました。この計画に「グラウンドナッツ・アーミー」と呼ばれる志願者を募集し、約10万人が参加を希望しました。

実施と失敗

しかし、計画の実施は早期から問題に直面しました。最初の課題は重機の不足でした。カナダから購入したブルドーザーやトラクターは、運搬の際に鉄道の流出トラブルに見舞われ、地元民のストライキが発生しました。土壌調査でも、粘土質の土壌を落花生栽培に適していると判断し、開発が進められましたが、運営の過程で数多くの障害が明らかになりました。

作業環境は劣悪で、労働者は危険な野生動物に遭遇し、土壌環境も不適でした。また、労働者の賃金上昇が地域のインフレーションを促進し、生活水準を圧迫しました。1947年の夏には、輸入された機械のほとんどが故障し、開発の進展は停滞しました。一時的な部品の解決策を導入するも、効果は薄く、最終的には開墾が完了した後も作物の植え付けや収穫が難航しました。

1948年、プロジェクトは新しい機関の管理下に置かれましたが、リーダーには軍事的な手法が適用され、労働者との信頼関係を築くことができませんでした。最終的に1949年には計画の失敗が事実上認められ、開墾目標は縮小され、実際に達成されたのは保持したエーカーの約6.7%にとどまりました。

結果と影響

1951年、イギリス政府はこの計画の中止を決定しました。計画にかかった費用は予算の2倍に達し、農地環境は劣化し、経済も悪化しました。タンガニーカ落花生計画は、植民地時代のアフリカにおける計画経済の失敗の象徴として語り継がれています。この計画からは、経済的な野心と現実的な環境の調和の必要性が痛感される結果となりました。

もう一度検索