タング級潜水艦

タング級潜水艦について

タング級潜水艦（Tang class submarine）は、アメリカ海軍が1951年から1952年の間に就役させた艦級であり、全6隻が建造されました。この艦級は、潜水艦推力増強計画（Greater Underwater Propulsion Power Program, GUPPY）に基づき、当時最新の技術を取り入れることを目的としていました。特に、ドイツのUボート技術を導入した点が重要です。このプログラムにより、アメリカ海軍は潜水艦の性能を向上させ、その結果、タング級は従来の艦よりも大幅に改良されました。

設計と技術革新

タング級潜水艦の最大の特徴の一つは、軽量で小型化された高速エンジン「パンケーキ」です。ゼネラルモーターズ社製のこの16-338エンジンは、従来のディーゼルエンジンとは異なり、垂直クランクシャフトで、シリンダーは放射状に配置されています。エンジンのサイズは高さ13.5フィート、幅4フィートで、4基のエンジンが合計8トンの重量を持ちます。このコンパクトな設計により、潜水艦内部の多くのスペースを有効活用できました。

また、魚雷発射管のデザインも革新が見られます。前方に配された6門の魚雷発射管は、水圧を利用して発射されるシステムに変更され、従来の圧縮空気に比べて静粛性が向上しました。これにより、発射時に気泡が発生せず、潜水艦の隠密行動が強化されました。後方に曾装備されていた魚雷発射管も減少し、簡素化された構造になっています。MK-27に対応する設計がされ、また新しい自走兵器Mk-37の導入も計画されています。

建造と就役

タング級潜水艦は1946年10月に最初の2隻が発注され、タング（USS Tang, SS-563）がポーツマス海軍造船所で、トリガー（USS Trigger, SS-564）がエレクトリック・ボート社で建造されました。1947年にはワフー（USS Wahoo, SS-565）とトラウト（USS Trout, SS-566）が、それぞれの造船所にて建造されることが決定し、1948年にはガジョン（USS Gudgeon, SS-567）とハーダー（USS Harder, SS-568）も同様に発注されました。建造過程には問題もなく進みましたが、1950年初めの就役後、エンジン関連の不具合が発生しました。特に、コンパクトな設計が維持管理の難しさにつながり、その結果として発電機にオイル漏れが発生するケースも多く見られました。

1956年には、アメリカ海軍はパンケーキエンジンの交換を決定し、対向ピストンディーゼルエンジンへと切り替えることになります。この変更によって、機関室は9フィート延長され、エンジンを3基収める能力が向上しました。1957年から1958年にかけて、最初の4隻が改修を受け、また新型エンジンを装備したガジョンとハーダーが新たに竣工されました。

1967年には、タング、ワフー、ガジョン、ハーダーがパッシブソナーを追加装備するためのセクションが設計され、拡張される形で改良がなされました。

映画への登場

タング級潜水艦は映画『原子力潜水艦浮上せず（Gray Lady Down）』にも登場し、その中で「トラウト」が架空の原子力潜水艦「ネプチューン」として使用されています。この艦級は、実際の歴史の中で重要な役割を果たしたことから、文化的にもその存在感を示しています。

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