タンドスピロン

タンドスピロン（tandospirone）の概要

タンドスピロンは、アザピロン系に属する抗不安薬であり、主にセロトニン5-HT1A受容体に作用します。この薬剤は、特に日本や中国において「セディール」という商品名で広く使用されています。タンドスピロンは、心身症から来る不安や緊張、抑うつ、睡眠障害、さらには自律神経失調症や神経症に対して有効性が期待されています。

適応症

タンドスピロンは、心身症に関連する不安や緊張の緩和を目的として処方されることが多いです。しかし、注意が必要なのは、この薬剤の効果が発現するまでに時間がかかることで、通常は2〜4週間の時間を要します。その間、患者はその効果を感じにくいことがあります。また、一般的な抗不安薬であるベンゾジアゼピン系薬剤と比較して、タンドスピロンは筋弛緩作用や依存性が少なく、高齢者にとっては特に使いやすいという特長があります。

薬理作用

タンドスピロンの抗不安作用は、セロトニンを介したメカニズムによるものです。具体的には、タンドスピロンはセロトニン5-HT1A自己受容体に部分的に作用し、初期にはセロトニンの合成と放出を抑える効果があります。これにより、自己受容体は反復して使用されることで脱感作を起こし、この状態が続くと自己受容体の数が減少します。このダウンレギュレーションが起こると、抑制されていたセロトニンの作用が解除され、抗不安及び抗うつ作用が発揮されるとされています。

副作用

タンドスピロンの副作用は比較的軽度で、他の5-HT1A部分アゴニストと同様の反応が見られます。主な副作用としては、吐き気、下痢、頭痛、めまい、落ち着きのなさなどが挙げられます。また、倦怠感や眠気、食欲不振、脱力感といった症状も報告されています。一般的には、副作用は耐えられる範囲であるとされていますが、個々の反応は異なるため、注意が必要です。

剤形と用量

タンドスピロンは、錠剤の形で提供されており、主に5mg、10mg、20mgの3種類の用量があります。患者に最適な用量は医師の指導により決定されます。

製薬会社

タンドスピロンは、大日本住友製薬（現・住友ファーマ）をはじめ、その他の製薬会社である沢井製薬、東和薬品、共和薬品などによって製造されています。

参考文献

タンドスピロンに関する詳細な情報は、山本眞路氏の記事「抗不安薬 クエン酸タンドスピロン（一般名）/セディール（商品名）」に掲載されています。この文献は『ファインケミカル』690号（2003年）にあり、47〜53ページにわたって解説されています。

外部リンク

タンドスピロンの使用は、機能性胃腸症に対しても有効であるとされるアプローチが日経メディカルで紹介されています。

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