心身症

心身症とは

心身症（しんしんしょう）とは、身体的な症状や疾患の発現、その重篤度に心の問題が大きく関与している状態を指します。このような病態は、ストレスや精神的な緊張から生じることが多く、身体的な検査で異常が見つかることもあります。しかし、症状の発現や悪化には、心理的な要因が重要な役割を果たしています。したがって、心身症の治療には、身体的なアプローチだけでなく、心理的なケアも必要です。

心身症の定義

1991年に日本心身医学会が定義したところによると、心身症は「身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的な因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が確認される病態」だとされています。ただし、神経症やうつ病などの他の精神障害に起因する身体症状はこの定義には含まれません。心身症は、診断が確定した身体疾患に関連していることが条件であり、身体表現性障害とは異なる概念です。

世界保健機関（WHO）の国際疾病分類（ICD）やアメリカ精神医学会の精神障害の診断と統計マニュアル（DSM）では、心身症という病名は存在しませんが、ICD-10では「F5 生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群」として記載されています。ここには、摂食障害や性機能不全などが含まれます。

誘因と病態

心身症が発生しやすい性格傾向として、アレキシサイミアと呼ばれる状態が挙げられています。アレキシサイミアの人は、自身の感情を認識することが難しく、感情を身体の症状として表現することがあります。このような心理的メカニズムが、心身症の発展に寄与していると考えられています。

また、個々の性格と特定の身体疾患との関連も指摘されています。例えば、攻撃的な性格の人が心臓疾患を持ちやすいという仮説がありますが、これが明確に証明されているわけではありません。

主な心身症に関わる疾患

心身症は様々な疾患に関連しています。以下の疾患が例として挙げられますが、必ずしも全ての症状に心身症の要素があるわけではありません。

• - 過敏性腸症候群
• - 胃潰瘍
• - 緊張性頭痛
• - 関節リウマチ
• - アトピー性皮膚炎など

これらの疾患に対して、病名の後ろに（心身症）という表記を加えて専門的に扱います。

治療法

心身症の治療では、身体的な治療と心理的な治療を同時に行うことが求められます。身体的な症状については、各疾患に応じた医学的なアプローチが必要です。また、心理的な治療としては、薬物療法と心理療法を組み合わせることが有効です。

具体的には、認知行動療法（CBT）やリラクゼーション法を通じて、不安感や回避行動の軽減を図ります。このプロセスでは、自らの思考パターンを見直し、症状に対する不安感を減少させることを目指します。環境調整も重要で、家族療法の導入により、周囲の理解を深め、支持的な環境を整えることが推奨されます。

結論

心身症は、心と身体の密接な関わりを理解する上で重要な疾患です。適切な治療を通じて、患者は身体の症状の改善だけでなく、心理的な安定も図ることが可能です。これにより、より豊かな生活を取り戻す手助けになるでしょう。

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