タンブラー・スナッパー作戦

タンブラー・スナッパー作戦

タンブラー・スナッパー作戦（Operation Tumbler-Snapper）は、冷戦下の核開発競争が活発化していた1952年の春季に、アメリカ合衆国がネバダ核実験場において実行した一連の核兵器関連実験です。この作戦は、これに先立つバスター・ジャングル作戦で得られた知見を基盤とし、その後に実施されるより大規模なアイビー作戦へと繋がる重要な位置づけにありました。

作戦の目的と特徴

タンブラー・スナッパー作戦の最も注目すべき点は、実際の核爆発環境下における兵士の生存性および作戦遂行能力を評価することを目的とした「デザート・ロックIV」と称される実地演習が、核実験と並行して実施されたことにあります。これは、将来的な紛争において核兵器が使用される可能性を想定し、爆発が発生した直後の領域で部隊がどのように活動できるか、またその際に受ける影響はどの程度であるかを、実践的な状況に近い形で検証しようとする試みでした。このような兵士の「作戦行動可能性」の評価は、核戦争が現実的なシナリオとして議論されていた当時の軍事戦略において極めて重要な意味を持っていました。

作戦の構成

タンブラー・スナッパー作戦は、その実施内容や目的によって二つの主要なフェーズに分類されます。一つは「タンブラー作戦」、もう一つは「スナッパー作戦」です。両フェーズ合わせて、合計で8回の核実験が実行されました。

タンブラー作戦

「タンブラー作戦」は、合計3回の核実験から構成されていました。これらの実験は全て昼間に航空機から核装置を空中投下する方式で行われました。タンブラー作戦の主な目的は二つありました。一つは、過去に行われた核実験で観測された衝撃波について、理論的な予測値と実際の測定値との間に見られた差異の原因を詳細に調査することでした。これは、核爆発のエネルギーが構造物や環境に与える影響をより正確に理解し、安全距離の設定や防御構造物の設計に必要なデータを取得するためです。もう一つの目的は、核爆発の熱線、衝撃波、放射性降下物といった効果を総合的に考慮し、破壊力を最大限に引き出すための最適な爆発高度を特定することでした。これらの実験には、Mark 4核爆弾を改良した実験装置が使用されています。

スナッパー作戦

「スナッパー作戦」では、合計5回の核実験が実施されました。このフェーズの実験方法は多岐にわたり、1回は昼間に航空機からの空中投下で行われましたが、残りの4回は夜間に地上に設置された塔の頂上で核装置を起爆させる「塔上爆発」という形式が取られました。塔上爆発は、地表近くでの爆発が引き起こすクレーターの形成や放射性降下物の生成・拡散といった現象を研究するために行われます。夜間に実施された理由としては、視覚的な効果の観測などが考えられますが、具体的な目的は実験ごとに異なる可能性もあります。

まとめ

タンブラー・スナッパー作戦は、アメリカ合衆国が初期の核兵器開発段階において、核爆発の物理的効果をより深く理解し、来るべき核時代における軍事戦略や戦術を確立するために実施した重要な実験シリーズでした。特に、兵士を核爆発の影響が及ぶ範囲に配置して行動可能性を検証したデザート・ロックIV演習は、核兵器の実戦使用を真剣に検討していた当時の状況を象徴する出来事と言えます。これらの実験を通じて得られたデータや知見は、その後のアメリカの核戦力整備や核ドクトリンに大きな影響を与えたと考えられています。

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