アイビー作戦

アイビー作戦について

アイビー作戦（Operation Ivy）は、1952年11月にアメリカ合衆国がマーシャル諸島のエニウェトク環礁で実施した一連の核実験です。この作戦は、前のタンブラー・スナッパー作戦の後に行われ、さらにアップショット・ノットホール作戦へと続く、核兵器開発の重要な一環となりました。

アイビー作戦は主に2つの実験から構成されています。1つ目は11月1日に実施されたマイク実験（Mike）、2つ目は11月16日のキング実験（King）です。

マイク実験

マイク実験は、史上初の水素爆弾を用いた実験であり、テラー・ウラム型の多段階核融合兵器が使用されました。この実験では、液体重水素が核融合燃料として用いられ、極低温に冷却される必要があったため、非常に規模の大きな設備が整えられました。具体的には、マイク実験の装置は73.8トンの重量を誇り、相当な大型でした。

マイク実験の実施中には、直径約5キロメートルの火球が発生し、壮大なキノコ雲は最大で高さ37キロメートル、幅161キロメートルに達しました。その影響で、実験を行ったエルゲラブ島は完全に消失してしまい、直径1.9キロメートル、深さ50メートルに及ぶ巨大なクレーターが形成されました。この実験で放出されたエネルギーは10.4メガトンに達し、そのうち8メガトンはウラン238を用いたタンパーの核分裂から生じたもので、多量の放射性降下物を伴いました。なお、マイク実験で使用されたプライマリは、長崎原爆の改良型であるMark 5弾頭TX-5でした。

キング実験

次に行われたキング実験は、Mark 18と呼ばれる大威力核分裂兵器の実験として位置づけられており、当時の核分裂兵器の中で最大の威力を誇るものでした。これは核融合兵器のバックアップとしての役割も果たすことが期待されていました。キング実験はB-36爆撃機によりルニット島の北およそ610メートルの地点から投下され、上空450メートルで爆発しました。

アイビー作戦の影響

アイビー作戦は、核兵器開発において重要な転換点となり、特に水素爆弾の実用化に向けた一歩となりました。また、実験で生成された放射性降下物からは、アインスタイニウムやフェルミウムといった超ウラン元素が発見され、科学的な研究にも寄与しました。

この一連の核実験は、冷戦の緊張感が高まる中で行われ、国際的な核軍備競争を一層加速させる要因ともなりました。エニウェトク環礁での一連の核実験は、今でも核兵器の歴史において重要な意味を持ち続けています。さらに、アイビー作戦に関するさまざまな記録や資料は、現在も研究者や一般の人々にとって興味深いテーマとなっており、核の時代の背景を理解する手助けとなっています。

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