タンマチ

タンマチ（Tammači）

タンマチとは、モンゴル帝国の第2代皇帝オゴデイの治世に設立され、役割が変化した軍団のことを指します。この軍団は、モンゴル本土の千人隊から抽出されたモンゴル兵士と征服地から徴発された兵士で構成され、モンゴルの征服戦争において前衛部隊として活動しました。征服戦争が終わった後は、辺境での鎮戍任務を担う部隊として位置づけられました。このような背景から、タンマチは「前衛軍」や「辺境鎮戍軍」とも解釈されます。

歴史的な背景

タンマチの設立は、オゴデイによって特に当時の情勢に応じて進められましたが、実際にはチンギス・カンの時代からの計画の延長線上にありました。1211年から金朝への侵攻を行ったチンギス・カンは、勝利によって得た領土を守るために兵員を組織し、彼の指揮のもとで初めての千人隊の一部がタンマチの原型を形成したと考えられています。

オゴデイの時代には、タンマチはイラン、キプチャク、ルーシ、そして高麗など様々な地域に派遣され、その地での征服や鎮戍に従事しました。特にイラン方面では、ジャラールッディーン・メングベルディーの残党に対して有効な軍事手段として機能しました。

名称と語源

「タンマチ」という名称は、モンゴル語に由来し、いくつかの説があります。一つは、漢語の「探馬」に由来する説です。この場合、「探馬」が持つ隠密行動の意味合いが、後に将兵が果たした役割に繋がっていると考えられています。もう一つは、アルタイ諸語の「タムガ」に由来することを示唆する説ですが、現代の研究では後者が一般的に受け入れられています。

構成

タンマチの構成は、モンゴル本土の兵士と征服地の現地徴発兵による混成軍団であることが特徴です。現地の徴発兵は、征服した地域の住民から選抜されており、モンゴル兵との混成形態が維持されています。この特徴は、タンマチが単なるモンゴル軍ではなく、異なる文化背景や戦闘能力を持つ兵士が共存する部隊であったことを示しています。

軍事的な役割

歴史的に見て、タンマチは先鋒軍としての役割を果たし、敵地域への侵攻の際には最初に前線に立ちました。前衛としての任務を命じられ、その任務を遂行した後は、収束した地域の防衛を担当しました。この任務においては、他の主力部隊に比べてより過酷な条件下での戦闘を避けられない立場にありました。

タンマチの解体

1227年にチンギス・カンが亡くなるとタンマチの構造に変化が訪れます。オゴデイ時代において多くのタンマチが派遣される中、新たな帝位継承戦争や政治的争いの中で、モンケ・カアンの時代にタイダルやアンチュルのような指揮官が新たに台頭しますが、徐々にタンマチは彼らの指揮下に吸収され組織的に解体していきました。

まとめ

タンマチは、モンゴル軍の新たな形態であり、時代や状況に応じた役割を果たしてきました。軍団としての性格は、創設当初から末期に至るまで多様な変化を遂げ、モンゴル帝国の軍事的戦略において不可欠な存在でした。その後、彼らの存在は様々な地域の軍閥や部族連合に派生していくことになりますが、モンゴル帝国の歴史を通じて重要な役割を果たしました。

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