タンロン遺跡

タンロン遺跡、別名昇龍皇城は、ベトナムの首都ハノイに位置する重要な遺跡群です。2003年より発掘調査が開始され、その歴史的な価値が明らかになりました。タンロン（昇龍）はハノイの旧称であり、この地は1010年から1804年までの間、ほぼ一貫してベトナムの各王朝の都として機能しました。そのため、複数の時代の遺跡が重層的に存在していることが最大の特徴です。

この遺跡は、紅河デルタの埋立地に立地しており、その地理的な特性から、北の中国と南のチャンパ王国の双方から影響を受けてきました。このことは、紅河下流域の独特な文化を形成し、ベトナムが独立国家として発展していく過程を反映しています。タンロン遺跡は、ベトナムの歴史と文化を理解する上で、非常に重要な役割を果たしています。

2010年8月、タンロン遺跡はその歴史的、文化的価値が認められ、ユネスコの世界遺産（文化遺産）に登録されました。これは、遺跡が持つ普遍的な価値を国際的に認めたものです。世界遺産としての登録基準は以下の通りです。

(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
タンロン遺跡は、複数の王朝が都を置いたことで、各時代の建築様式や都市計画の変遷を具体的に示しています。また、この地が文化的な交流点であったことを示す遺構や遺物が数多く発見されています。
(3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
タンロン遺跡は、ベトナムの歴史において重要な役割を果たした場所であり、その歴史的背景は、他の場所では見られない独自の文化を形成する要因となりました。
(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
タンロン遺跡は、ベトナムの各王朝の建築様式、技術、そして都市計画が集積した場所であり、その歴史的な重要性を現代に伝えています。

タンロン遺跡は、ベトナムの歴史と文化を深く理解するための貴重な場所であり、その重要性は今後も変わることはないでしょう。訪れる人々は、過去の時代の足跡を辿り、この場所が持つ物語に触れることができるでしょう。

外部リンク

タンロン遺跡
* タンロン遺跡/旧ハノイ城跡

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