紅河デルタ

紅河デルタ

紅河デルタは、ベトナム北部に位置する地域であり、トンキン・デルタまたはホン川デルタとも呼ばれます。この地域は、ベトナムの首都であるハノイ市や、港湾都市であるハイフォン市を含む、2つの中央[[直轄市]]と8つの省によって構成されています。

行政区分

紅河デルタには、以下の行政区が含まれています。

ハノイ市
ハイフォン市
ヴィンフック[[省]]
タイビン[[省]]
ナムディン[[省]]
ニンビン[[省]]
ハイズオン[[省]]
バクニン[[省]]
ハナム[[省]]
フンイエン[[省]]

かつて存在したハタイ省は、2008年にハノイ市に合併されました。

地理

紅河デルタは、紅河（ホン川）を中心に形成された肥沃なデルタ地帯です。紅河がトンキン湾に注ぎ込む河口部に位置しています。ベトナムの国土面積に占める割合は大きくありませんが、人口密度が高く、多くの人々が生活しています。三角州には広大な水田が広がり、農業が盛んです。水田や宅地を囲むように堤防が築かれていますが、雨季には堤防の高さまで水位が上昇し、決壊すると大規模な洪水が発生する危険性があります。

自然堤防は、ヴィエッチからハノイ、ハイズオン、そしてフーリーにかけて河川沿いに形成されており、これは河川の氾濫によって土砂が堆積したものです。海沿いには、マングローブや塩性湿地、砂丘など多様な生態系が存在し、多くの動植物が生息しています。特に、ナムディン[[省]]のスアントゥイ国立公園とタイビン[[省]]のティエンハイ県は、渡り鳥の重要な飛来地であり、ラムサール条約にも登録されています。

経済

紅河デルタでは、古くから稲作が盛んに行われてきました。ドンソン文化の時代から稲作が行われ、10世紀頃からは堤防の建設が進み、水田が拡大しました。19世紀初頭までには臨海部を除くほぼ全域で水田が広がり、二期作も行われるようになりました。しかし、その後のコメ増産は頭打ちとなり、不作の年にはコメの供給が人口に対して不足するようになり、旱魃や洪水のたびに多くの人々がメコン・デルタへと移住しました。ベトナム社会主義共和国成立後は、有機肥料の利用や品種改良によってコメの収穫量の増加が図られています。

ベトナム戦争とデルタ地帯

ベトナム戦争中、紅河デルタは北ベトナムの重要な拠点が多く存在したため、アメリカ軍による激しい爆撃（北爆）を受けました。特に、1972年にはアメリカ軍が堤防や水門を意図的に爆撃したと北ベトナムが非難しましたが、アメリカ側は偶発的な被弾が数カ所あっただけだと反論しました。しかし、この爆撃は国内外から多くの批判を浴びました。

紅河デルタは、豊かな自然と歴史を持つ地域である一方で、洪水や戦争など、様々な困難に直面してきた場所でもあります。

もう一度検索