タヴリーダ宮殿

タヴリーダ宮殿の概要と歴史

タヴリーダ宮殿（タヴリーチェスキー宮殿）は、サンクトペテルブルクを代表する宮殿建築の一つで、その規模と歴史的価値は非常に高いものです。この宮殿は、エカテリーナ2世時代のロシア古典主義建築の傑作とされており、壮麗な建築美と歴史的背景から、多くの人々を魅了しています。

ポチョムキンと宮殿の誕生

宮殿の名前は、所有者であったタヴリーダ公爵グリゴリー・ポチョムキンに由来します。1783年、クリミア半島をロシア帝国が併合した際、その功績を認められたポチョムキンは、エカテリーナ2世からこの宮殿を賜りました。ポチョムキンは、建築家イワン・スタロフに設計を依頼し、パラディオ様式を取り入れた壮大な宮殿を建設しました。宮殿は、本館に加え、広大な庭園、ネヴァ川へと続く運河、港湾を備えるという大規模なものでした。

1791年、ポチョムキンは大規模な祝宴を宮殿で開催しましたが、その数ヶ月後に亡くなりました。ポチョムキンの死後、宮殿は「タヴリーダ宮殿」と呼ばれるようになりました。

エカテリーナ2世による改修

ポチョムキンの死後、エカテリーナ2世は宮殿を買い上げ、夏の離宮として改修を命じました。建築家フョードル・ヴォルコフが監督となり、東翼に劇場、西翼に礼拝堂が設けられました。庭園には、アドミラル・パヴィリオン、庭師の館、温室、オランジェリーなどが建設され、橋や鉄製のフェンスも整備されました。宮殿の内部は非常に豪華で、特にドームホール（エカテリーナ・ホール）は、イオニア式の列柱で飾られ、その壮大さはロシアでも有数でした。また、室内庭園「冬の庭園」は、来客を驚かせました。

しかし、エカテリーナ2世の死後、宮殿は一時的に衰退します。新帝パーヴェル1世は、母帝とポチョムキンへの反感から、宮殿を騎馬隊の宿舎として使用し、エカテリーナ・ホールを馬場に改装するなど、大幅な改変を行いました。

19世紀以降の変遷

19世紀になると、タヴリーダ宮殿はカルロ・ロッシとワシリー・スターソフによって改装され、ロマノフ家の皇族が使用する宮殿となりました。しかし、宮殿とネヴァ川の間に給水場が建設されたことで、景観は大きく損なわれました。1905年の日露戦争後のロシア第一革命では、ドゥーマ（国会）の議事堂として使用されることになり、冬の庭園は会議場に、東翼の劇場は図書館に改装されました。

1917年のロシア革命（二月革命）後には、臨時政府とペトログラード・ソビエトが置かれ、1918年には憲法制定議会が開催されました。その後、ボリシェヴィキは宮殿で第7回党大会を開催し、党名をロシア共産党（ボリシェヴィキ）に改称しました。

現代におけるタヴリーダ宮殿

ソビエト連邦崩壊後、タヴリーダ宮殿は国際会議や接待施設として利用されています。独立国家共同体議会間総会（IPA CIS）などの重要な会議が開催され、宮殿内には会議用の別館も建設されました。

タヴリーダ宮殿は、その歴史の中で様々な役割を果たし、ロシアの歴史と文化を象徴する重要な建造物として、今日までその価値を保ち続けています。

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