タートル潜水艇

タートル（Turtle）とは

タートルは、1775年にアメリカ入植者デヴィッド・ブッシュネルによって発明された世界初の実戦用潜水艇です。その特徴的な形状から「タートル」と名付けられ、当初は港に停泊している船に機雷を設置する目的で設計されました。ブッシュネルの発明は、ジョン・トランブルによってジョージ・ワシントンに伝えられ、ワシントンはその可能性に興味を示し、開発資金を調達しました。

デザインと機能

タートルは2.4mの長さ、1.8mの高さ、0.9mの幅を持ち、二重構造の木製殻にタールで塗装され、鋼鉄製の帯で補強されています。現代の潜水艦の基本原理を取り入れ、水を引き入れることで潜水し、手動ポンプで排水することで浮上します。また、スクリュー推進を採用した最初の艦艇であり、91kgの鉛を装備していたため、瞬時に浮力を調整することが可能でした。タートルは1名乗りで、艇内の空気で約30分の潜水ができ、穏やかな海では時速約4.8kmで航行することができました。上部には6つの小型ガラス窓があり、自然光が入る唯一のポイントでした。

ブッシュネルは艇内の照明に悩んでおり、消費酸素を抑えるためにベンジャミン・フランクリンに助けを求めました。フランクリンは生物発光を利用した照明システムを考案しましたが、期待よりも薄暗く、海水の冷却効果が影響しました。

ガバナーズ島での攻撃

1776年9月7日、タートルを乗せたエズラ・リーは、マンハッタンのガバナーズ島でイギリス軍の旗艦「イーグル」に向かいました。この攻撃は、銅板で覆われた船体に穴を開けられなかったと言われがちですが、実際には操縦の不慣れが原因の可能性があります。また、潮流が複雑で、限られた時間しか攻撃のチャンスがありませんでした。リーは攻撃を試みたものの、イギリスの兵士たちに追跡されつつも、火薬を詰めた樽を投げ、何とか逃げ延びました。

後の展開

1777年、リーは別の攻撃を敢行するも、イギリスのフリゲート艦にはダメージを与えられず、その後タートルはニュージャージー州フォートリーで沈められました。ブッシュネルはその後、タートルの回収と解体を報告しました。

記録の信憑性

イギリスの記録にはタートルによる攻撃についての記載がなく、実際にはタートルが使用されたという証拠は限られています。操縦の難しさや潮流の影響により、攻撃は成功したとは言えない状況であったとも考えられています。これにより、タートルの攻撃はプロパガンダとして利用された可能性も指摘されています。

複製品の作成

1976年には、アメリカ建国200周年を記念してタートルのレプリカが設計・製作され、コネチカット川での試験が行われました。さらに、2007年にはタートルの複製に関する事件も発生し、これが現代におけるタートルの影響力を証明しています。複製品は抗議活動や教育プロジェクトにも利用されています。

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