ダイアグラム

ダイアグラムとは

ダイアグラム（diagram）とは、情報を整理し、象徴的に表現するための幾何学的な図示手法です。点、矩形、楕円などの図形と、それらを繋ぐ線や矢印を用いて構成され、集合の相互関係や、関数などの概念を視覚的に表現します。

ダイアグラムの概要

「ダイアグラム」という言葉は、広義と狭義の2つの意味で使用されます。

広義のダイアグラム: 視覚情報表現手段の総称であり、イラストレーションのように、グラフやテーブルを含む様々な視覚表現を包括します。
狭義のダイアグラム: 定性的なデータを表現する特定の視覚表示を指し、線、矢印、図形などの組み合わせによって構成されます。

科学分野では両方の意味で使用され、例えばマイケル・アンダーソンはダイアグラムを「抽象絵画であり、情報の表現である」と述べ、地図、線グラフ、棒グラフ、設計図、見取図などを含むと定義しています。一方で、リチャード・K・ロウはダイアグラムを「主題の抽象的なグラフ描画」と定義し、フローチャートやアイディア図など特定の視覚表現を指しています。

「ダイアグラム」という言葉は、「チャート」と合わせて使われることも多く、ダイアグラムは質的な概念、チャートは量的・質的な情報を表すために使われます。

ダイアグラムの特徴

ダイアグラムは、コンピュータグラフィックスや製図などの直接的な表現とは異なり、抽象的な表現を特徴とします。

視覚的な形式を決定する表現手段である。
量的なデータではなく、関係性や抽象的な情報を表示する。
図形、線、矢印、位置など、視覚的な要素を組み合わせて表現する。

本質的な意味を伝えるために、簡略化された図やカリカチュアが用いられることがあります。ジャン・V・ホワイトによれば、良いダイアグラムは優雅で、明瞭で、平易で、模範的で、簡易で、妥当であるべきです。

ダイアグラムの応用

ダイアグラムは、動作、プロセス、事象、概念を表現するのに適しています。視覚的な情報処理を好む人々にとって思考の助けとなり、意思決定プロセスでも活用されます。プログラマーにとっては、構造化されたダイアグラムが正確性、開発速度、自動確認、関連付け、標準化を促進します。

リー・E・ブラッスールによれば、ダイアグラムとはテキスト付きの線画であり、概念を伝える線と図形から構成されます。広義のドローイングは写実的な描写を含みますが、ダイアグラムは抽象的な構造を示すための描画の一種であり、状況や概念の本質を表します。

ダイアグラムの歴史

マイケル・フレンドリーによれば、視覚化の必要性は、航海や探検のための地図作成に始まりました。古代文明にはそれぞれ独自の様式があり、16世紀には観測と計測の技術が発展し、視覚化の基盤が築かれました。17世紀には、解析幾何学や統計学が発展し、18世紀・19世紀には人口や社会統計が視覚化されるようになりました。

ダイアグラムは数学的証明や関数の説明にも使われ、計算を補助するノモグラムが生まれました。収集された数値データを可視化するグラフが開発され、ウィリアム・プレイフェアによって円グラフ、折れ線グラフ、棒グラフなどが考案されました。統計学と地理学の進展により、地図上に数値データを視覚的に表現する主題地図も登場しました。

主なダイアグラムの種類

ダイアグラムは、様々な種類に分類されます。

グラフ・ベースのダイアグラム

グラフ理論におけるグラフを基にしたダイアグラムです。要素の集合とそれらの関係性を二次元上に位置づけて表現し、接続や重なりによって関係性を示します。

樹形図
ネットワーク図
クラスタ図
フローチャート
オイラー図、ベン図、存在グラフ

チャート

2つの変数の関係性を表すグラフです。量的データや質的データを示します。

ヒストグラム、棒グラフ
円グラフ
関数グラフ
散布図
テーブル、行列

その他のダイアグラム

交通機関運行表（ダイヤグラム）
地図
分解組立図

様々なダイアグラム

（様々なダイアグラムの種類をあいうえお順で記載）

出典

Michael Anderson, Peter Cheng, Volker Haarslev (Eds.) (2000). Theory and Application of Diagrams: First International Conference, Diagrams 2000. Edinburgh, Scotland, UK, September 1-3, 2000. Proceedings.

関連項目

可視化（視覚化）
統計図表（チャート）
ダイアグラム作成ソフトウェア
グラフ作成ソフト
図的推論
グラフ技法の一覧
グラフ理論
数学的ダイアグラム
プロット (グラフィックス)
インフォグラフィック
ダイアグラムの種類
* ダイアグラム関連のリソース

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