ダイアナ・リグ

ダイアナ・リグ：英国を代表する女優の生涯

ダイアナ・リグ（1938年7月20日 - 2020年9月10日）は、イギリスの国民的女優として広く知られています。007シリーズや『ゲーム・オブ・スローンズ』といった人気作品への出演で国際的な名声を得る一方、舞台女優としても卓越した才能を発揮し、高い評価を得ていました。

華麗なるキャリア：シェイクスピアから007、そして『ゲーム・オブ・スローンズ』へ

イングランド、ドンカスター出身のリグは、ロンドンの王立演劇学校で演技を学び、1955年にデビュー。その後、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーにも参加し、舞台女優としてのキャリアを着実に築き上げていきました。1960年代には、テレビシリーズ『おしゃれ(秘)探偵』でエマ・ピール役を演じ、一躍スターダムにのし上がります。しかし、プライバシーの侵害や低いギャラに不満を感じ、2年で降板。それでも彼女は、テレビドラマや舞台で活躍し続けました。

1969年には、007シリーズ『女王陛下の007』でボンドガール、トレイシー・ディ・ヴィンチェンゾ役を演じ、世界的な人気を博します。その洗練された美貌と、芯の強いキャラクターは、多くの観客の心をつかみました。

近年では、HBOの大ヒットシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』において、マージェリー・タイレルの祖母であるオレナ・タイレル（茨の女王）を演じました。機知に富み、政治的な駆け引きに長けたこのキャラクターは、彼女の演技力によってさらに魅力的な存在となり、高い評価を受け、エミー賞へのノミネートを果たしました。

舞台への情熱と数々の受賞

リグは、映画やテレビでの活躍と並行して、舞台にも積極的に出演し続けました。1994年には、舞台『メデイア』での圧倒的な演技によってトニー賞最優秀女優賞を受賞。そのほかにも、『ヴァージニア・ウルフなんか怖くない』、『フォーリーズ』など、数々の舞台作品で高い評価を獲得しました。彼女の演技は、その繊細さと力強さを兼ね備え、見る者を魅了しました。長年の演劇、ドラマにおける貢献が認められ、1988年には大英帝国勲章CBE、1994年にはデイムの称号を授与されています。

プライベートと晩年

私生活では、2度の結婚と離婚を経験しました。1977年には、女優となった娘、レイチェル・スターリングをもうけています。母娘共演も果たしており、2013年の『ドクター・フー』で共演したエピソードは、彼女たちにとって忘れられない思い出となりました。2020年9月10日、82歳で亡くなりました。娘のレイチェルによると、死因は3月に診断された癌だったとのことです。

女優としてのレガシー

ダイアナ・リグは、類まれな才能と情熱によって、イギリス演劇史に大きな足跡を残しました。シェイクスピア作品から現代劇まで、幅広い役柄を演じ分け、その卓越した演技力で、常に観客を魅了し続けました。彼女の残した作品と記憶は、これからも多くの人々に感動と勇気を与え続けることでしょう。映画、テレビ、そして舞台、それぞれの分野で成功を収めた彼女のキャリアは、後世の女優たちにとって、永遠の憧れであり続けるでしょう。

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