ダイコンソウ属

ダイコンソウ属（Geum）について

ダイコンソウ属は、バラ科バラ亜科に分類される植物のグループです。温帯から冷帯にかけて、世界中の広い範囲に約50種が分布しています。日本にも、ダイコンソウ（Geum japonicum）をはじめとするいくつかの種が自生しています。

特徴

ダイコンソウ属の植物は、すべて耐寒性のある多年草です。根元から生える葉（ロゼット）がダイコンの葉に似ていることからこの名が付けられました。しかし、アブラナ科のダイコンとは科が異なり、また、ダイコンのような太い根もありません。

草丈は30cmから1m程度で、ロゼットの葉はへら形で羽状に切れ込みがあります。茎につく葉は互生し、浅く3つに裂けているものが多いです。花は通常初夏に咲きますが、園芸種では5月から8月頃まで咲き続けるものもあります。花は1.5〜3cmほどの大きさで、5枚の花びらを持ちます。園芸種には八重咲きのものもあり、花色は赤や橙色が多いですが、白や紫色のものもあります。

利用

ダイコンソウは、中国や日本では古くから薬草として利用されてきました。貧血やむくみの改善に使われたり、生の葉を打ち身の際の外用薬として用いられていました。中国では「水楊梅」と呼ばれますが、ヤマモモとは全く関係ありません。

日本の自生種

日本には、以下のダイコンソウ属の植物が自生しています。

チングルマ (Geum pentapetalum)：高山植物としてよく知られています。
ミヤマダイコンソウ (Geum calthifolium var. nipponicum)：山地に自生します。
ダイコンソウ (Geum japonicum)：日本各地の山野に広く分布しています。
オオダイコンソウ (Geum aleppicum)：山地に自生します。
カラフトダイコンソウ (Geum macrophyllum var. sachalinense)：山地に自生します。
コキンバイ (Geum ternatum) : コキンバイ属に分類される場合もあります。

園芸種

園芸用として栽培されているものには、次のようなものがあります。

ベニバナダイコンソウ (Geum coccineum*)

栽培

ダイコンソウ属の植物は、宿根草ですが、秋に種をまいても翌年には花を咲かせます。種まきは、春の4月か秋の9月に行うのが適しています。鉢や箱に種をまき、2mm程度覆土すると、10日ほどで発芽します。日向または半日陰の場所を選び、株間を30cm程度あけて植え付けます。直根性のため、大きな苗の移植は難しいとされています。

ダイコンソウ属の植物は、その美しい花や葉の形から、庭園やガーデニングで親しまれています。薬草としての利用だけでなく、観賞用としても、その価値は高いと言えるでしょう。

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