ダウンヒル (2020年の映画)

『ダウンヒル』：雪崩から始まった家族の再生

2020年公開のアメリカ映画『ダウンヒル』（Downhill）は、笑いと感動、そして家族の絆を描いたコメディー作品です。舞台はアルプスのスキーリゾート。休暇を楽しむスタントン一家に、突如として雪崩が襲いかかります。父親のピートはパニックに陥り、妻と子供たちを置き去りに、一目散に逃げてしまいます。

幸いにも死傷者はいませんでしたが、この出来事が家族に大きな影を落とします。特に妻のビリーは、夫の行動に強い失望と不信感を抱きます。ピートは、家族の信頼を取り戻すため、様々な困難に立ち向かうことになります。

本作は、2014年のスウェーデン映画『フレンチアルプスで起きたこと』をハリウッドでリメイクした作品です。監督はナット・ファクソンとジム・ラッシュ。主演は、ウィル・フェレルとジュリア・ルイス＝ドレイファスという豪華キャストが顔を揃えています。フェレルは、家族を顧みず逃げる自己中心的でコミカルな父親像を、ルイス＝ドレイファスは、夫の行動に怒りながらも家族の未来を見据える芯の強い母親を、それぞれ見事に演じています。

物語は、雪崩という極限状況下での家族の行動から始まり、その後、日常の様々な出来事を経て、家族関係の変化や葛藤が丁寧に描かれています。コミカルなシーンとシリアスなシーンが交互に展開し、観客を飽きさせません。笑いと感動がバランスよく配置されており、家族のあり方や人生の価値観について考えさせられる、奥深い作品となっています。

キャスト陣も魅力的です。ミランダ・オットー、ゾーイ・チャオ、ザック・ウッズといった実力派俳優陣が脇を固め、物語に深みを与えています。それぞれのキャラクターが、ピートとビリーの夫婦関係や家族関係に影響を与え、物語をより複雑で興味深いものにしてくれます。

製作過程も興味深いです。2018年にリメイクが決定し、主要撮影はオーストリアで行われました。20世紀フォックス（現20世紀スタジオ）傘下のサーチライト・ピクチャーズが配給を担当した最初の作品でもあります。サウンドトラックはハリウッド・レコードから発売され、作品の世界観をさらに盛り上げています。

公開に際しては、オフィシャル・トレイラーが公開され、サンダンス映画祭でプレミア上映されるなど、大きな話題となりました。興行収入も好調で、公開初週末には予想を上回る成績を残しています。

しかし、批評家の評価は賛否両論です。Rotten Tomatoesでは批評家支持率41%と、やや低めの評価となっています。原作の方が優れていたという意見も多く見られます。一方、Metacriticでは49/100という評価です。CinemaScoreではDという結果が出ており、観客の評価も芳しくないようです。

『ダウンヒル』は、家族の絆、そして人生の選択について考えさせられる作品です。劇場公開はされませんでしたが、デジタル配信で視聴できますので、ぜひ一度ご覧ください。予測不能な展開と、笑いあり涙ありの物語が、あなたをきっと魅了するでしょう。

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