ダグラス DC-1

ダグラス DC-1（Douglas DC-1）

ダグラス DC-1は、アメリカのダグラス・エアクラフト社が開発した旅客機で、搭乗定員は12名。1機のみが製造されたこの航空機は、DCシリーズのプロトタイプとしての役割を果たしました。DC-1のデザインは、その後のDC-2とDC-3の発展に大きな影響を与えることとなります。

開発の経緯

DC-1の開発は1930年代初頭にさかのぼります。当時、航空業界は急速に成長しており、航空機の輸送能力向上が求められていました。ダグラス社はこのニーズに応えるべく、12座席の旅客機を設計しました。そして、1933年7月1日に初飛行を果たします。この飛行は、DC-1が持つ工程と能力を示すものであり、当時の航空機としては大きな可能性を秘めていました。

初飛行後、DC-1は半年間に及ぶ試験飛行を行い、その間には200回以上のデモ飛行が実施されました。この試験飛行の中で、アメリカ大陸横断の飛行記録を樹立し、13時間5分という記録を達成しました。この記録は、DC-1の性能を証明する重要な瞬間となりました。

試験飛行の結果を受けて、トランス・ワールド航空はDC-1のエンジンを強化し、座席数を14に変更したモデルを20機発注しました。この改良型がDC-2となり、以降200機以上の生産が行われることになります。DC-2は航空会社から高い評価を受け、広く運用されるようになりました。

運用の経緯

原型機であるDC-1は、1938年7月15日にイギリスのフォーブス卿に販売されました。その後はイギリス国内で一定期間運用された後、同年10月にはフランスを経由してスペインの航空郵便会社Líneas Aéreas Postales Españolas（L.A.P.E.）に売却されました。L.A.P.E.では、DC-1は航空郵便の運搬に使用され、その後スペイン共和国空軍によっても輸送機として活用されました。

1940年にはイベリア航空により「Negron」という名前で運用されましたが、同年12月にマラガでの不時着が原因で機体は損傷し、その後修理不可能と判定され、廃車となりました。このように、DC-1は短い運用期間でしたが、航空機の発展において欠かせない存在でした。

諸元（DC-1）

• - 乗員: 2名
• - 乗客: 12名
• - 全長: 18.29 m
• - 翼幅: 25.91 m
• - 全高: 4.88 m
• - 翼面積: 87.5 m²
• - 空虚重量: 5,343 kg
• - 運用時重量: 7,938 kg
• - 動力: ライト SGR-1820-F3 9気筒星型エンジン 710 hp (530 kW) × 2
• - 最高速度: 338 km/h
• - 巡航速度: 306 km/h（高度8,000ft）
• - 航続距離: 1,610 km

このように、ダグラス DC-1は航空史において特異な位置を占め、多くの後続機に影響を与えた重要な旅客機であることがわかります。

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