ダニーロ・ディルーカ

ダニーロ・ディルーカ：光と影のロードレーサー

ダニーロ・ディルーカ（Danilo Di Luca）は、1976年1月2日イタリア、アブルッツォ州ペスカーラ県出身の元プロロードレース選手です。1998年にプロデビュー後、その攻撃的な走りで数々の勝利を重ねましたが、ドーピング問題により、そのキャリアは大きな影を落としました。

早熟の才能が開花

1997年のU-23ジロ・デ・イタリアで優勝した実績を引っ提げ、1998年にリゾスコッティでプロデビュー。1999年にはジロ・ディ・ロンバルディアで2位に入るなど、早くからその才能を発揮します。2000年、2001年にはジロ・デ・イタリアでステージ優勝を飾り、着実に力をつけていきました。2001年のジロ・ディ・ロンバルディア優勝は、彼の才能が開花した瞬間と言えるでしょう。

苦難の時期、そして復活

2002年に移籍したサエコでは、怪我などのトラブルに見舞われ、なかなか勝利に恵まれませんでした。しかし、2005年にリクイガス・ビアンキへ移籍すると、アムステルゴールドレースとフレッシュ・ワロンヌを制覇。ジロ・デ・イタリアでもステージ2勝を挙げ、総合4位に入る活躍を見せます。この年のバスク一周でも総合優勝を果たし、初代UCIプロツアー王者に輝きました。この復活劇は、多くのファンを魅了しました。

ジロ・デ・イタリア総合優勝、そして暗転

2007年は、ディルーカにとってキャリアの絶頂期でした。アムステルゴールドレース、フレッシュ・ワロンヌで3位に入賞し、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュでは見事優勝。そして、ジロ・デ・イタリアではステージ2勝を挙げ、悲願の総合優勝を果たします。「殺し屋」の異名通りの、切れ味鋭いアタックでライバルたちを打ち破る姿は、多くの人々に感動を与えました。しかし、その直後、ドーピング疑惑が浮上し、出場予定だった世界選手権を土壇場で辞退。その後、3か月のレース出場停止処分を受け、UCIプロツアーのポイントも剥奪されるという事態に陥りました。

ドーピング問題と引退

2009年、ジロ・デ・イタリアで2度目のポイント賞を獲得するも、その後のドーピング検査で陽性反応が出てしまいます。2010年には2年間の出場停止処分を受け、ジロでの成績も剥奪されました。2013年にもドーピング違反が発覚し、ロードレース界から永久追放処分を受け、現役引退を余儀なくされました。

人物像

身長174cm（168cmというデータも存在）、体重61kg。甘いマスクを持ち、「王子」や「白王子」の愛称で親しまれました。サドルにペイントされたサメの絵柄は、彼のトレードマークでした。

所属チーム

1998年 リゾスコッティ
1999-2001年 カンティーナトッロ
2002-2004年 サエコ
2008年-2009年 LPRブレーキ
2011年 チーム・カチューシャ
2012年 アクア & サポーネ
2013年 ヴィーニ・ファンティーニ＝セッレ・イタリア

主な成績

ジロ・デ・イタリア 総合優勝（2007年）
ジロ・デ・イタリア ポイント賞（2009年）
アムステルゴールドレース 優勝（2005年）
フレッシュ・ワロンヌ 優勝（2005年）
リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ 優勝（2007年）
* バスク一周 総合優勝（2005年）

ダニーロ・ディルーカは、その才能とカリスマ性で多くのファンを魅了しましたが、ドーピング問題により、そのキャリアは大きな傷跡を残しました。しかし、彼の攻撃的な走りと勝利への執念は、ロードレース史に深く刻まれています。

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