ダハシュール

ダハシュールの概要

ダハシュール（アラビア語: دهشور‎、Dahšūr）は、エジプトのカイロから南へ約40キロメートル離れたナイル川の西岸に位置する古代の王家のネクロポリスです。この地域は、数多くのピラミッドが存在し、エジプトの歴史における重要な遺跡として知られています。特に有名な屈折ピラミッドや赤いピラミッドは、多くの観光客や研究者の注目を集めています。

ピラミッド

ダハシュールで最も著名なピラミッドには、エジプト古王国時代のクフ王の父スネフェルにより建設された屈折ピラミッドと赤いピラミッドがあります。屈折ピラミッドは、その独特な形状が特徴であり、建設過程での技術的な問題からこのような形式になったと考えられています。一方、赤いピラミッドは、世界で初めて階段状でない形を持つピラミッドとして評価されています。

この地域には、エジプト第12王朝のアメンエムハト2世のピラミッドがありますが、こちらは保存状態があまり良くありません。隣接する墓からは、王家の女性たちの墓が盗掘を免れて発見され、多くの貴重な宝石が出土しました。また、センウセルト3世のピラミッドは他のピラミッド群と共に巨大な複合体を形成しており、この通廊墓からはセンウセルト3世の娘に関する貴重な財宝も見つかっています。さらに、黒いピラミッドはアメンエムハト3世の治世後期に建設され、浸食が進んでいるものの、スネフェルの2つのピラミッドを除いて最も印象的な構造物です。このピラミッドの頂上には、花崗岩で作られたピラミディオンがかつて存在していたが、現在はカイロのエジプト考古学博物館のメインホールに展示されています。

また、黒いピラミッドの周辺では、エジプト第13王朝の王ホルの墓も発見されており、こちらは一部が盗掘されていますが、彼の娘と考えられるNubhetepti-kheredの墓は未盗掘でした。

ダハシュールには他にもエジプト第13王朝のピラミッドが点在しており、過去の発掘調査で確認されたものの中ではAmeny Qemauのピラミッドのみが詳細に調査されています。また、この地域の周辺では、エジプト古王国や中王国の役人の墓も多数発見されており、古代エジプトの墓文化や埋葬習慣についての貴重な資料を提供しています。

このようにダハシュールは、古代エジプトの歴史を理解する上で重要な遺跡群が集まる場所であり、今後の研究においてさらなる発見が期待されます。

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